Photo by gettyimages

新天皇と雅子皇后、初の地方訪問が示す「皇室大変革の予感」

二重権力、三重権力が現れる可能性

新天皇・皇后の地方公務デビューが、6月2日に愛知県尾張旭市で開催される「第70回全国植樹祭」だ。この行事から読み解ける「令和流」の天皇像とは、いかなるものなのか? 令和の幕開けに際し、放送大学教授・原武史氏が「象徴天皇」の過去と未来について語る特別インタビュー。(取材・構成:伊藤達也)

 

早くも示された「平成流」との違い

徳仁天皇は今回、雅子皇后と共に6月1日に東海道新幹線で愛知県入りし、あま市の伝統工芸施設を視察。翌日に全国植樹祭の式典に出席した後、肢体不自由児などの医療・療育施設を視察し、帰京するという日程になっています。

私は改元前から、新天皇として初めての地方訪問がどのようなかたちで行われるか注目していました。毎年5月ないし6月の植樹祭への出席は、明仁天皇が昭和天皇から引き継いでいた恒例行事ですから、おそらくそれが初めての地方訪問になると考え、情報収集も行っていました。

その上で、前述の日程が判明したとき、以前から抱えていたある予測に確信を得ました。つまり、新天皇は、「平成流」をそのまま引き継ぐことはしない――ということです。

Photo by gettyimages

まず私が得心したのは、この地方訪問が、1泊2日の日程で行われるという事実についてです。

「平成流」においては、式典への参加を目的とした天皇皇后の地方訪問は、社会福祉施設などへの訪問とセットであり、それは令和でも引き継がれるようです。

ただし従来であれば、この日程なら2泊3日か3泊4日が通例でした。例えば明仁天皇の最後の植樹祭訪問としてニュースになった、昨年の第69回ふくしま植樹祭への参加は、6月9日から11日の3日間で日程が組まれていました。

このときは福島での開催ということもあり、植樹祭の前後には復興住宅への訪問や震災慰霊碑への訪問、供花などの公務も行っています。福島ゆえに3日間だったわけではなく、平成の間の植樹祭訪問は、平成元年の徳島開催、平成8年の東京開催、平成23年の和歌山開催を除けば、すべて3日以上の日程が組まれています。

もちろん、平成になって初めての植樹祭訪問も1泊2日でしたので即断は避けるべきでしょうが、今回の日程は、新天皇皇后の初めての地方訪問にして、早くも平成との違いを示しているように見えます。宮内庁はそのことを承知しているからこそ、5月の発表時に「皇后さまのご負担を考慮した」とわざわざ説明したのです。