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強調される「皇室の伝統」実は最近のものだった

国民統治の「装置」としての学校

無人の学校にたなびく国旗

2019年4月30日の明仁天皇の退位と、5月1日の徳仁天皇の即位という「代替わり」の行事で、国中が「奉祝」ムードに沸き上がった。

 

政府は、新元号を「令和」と決定した翌日の4月2日に「御即位当日における祝意奉表について」を閣議決定し、「祝意奉表」(国民こぞって祝意を表するということ)として国旗掲揚を求めた。そして文部科学省は閣議決定当日に、学校をはじめとする関係各機関に「御即位当日における祝意奉表について(通知)」を送付した。

さらに同省は、4月22日に、「天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に際しての学校に於ける児童生徒の指導について(通知)」を送付し、即位当日に向けて、「国民こぞって祝意を表する意義について、児童生徒に理解させるようにすることが適当と思われますので、併せてよろしくご配慮ねがいます」と、「祝意を表する意義」を生徒児童に理解させるように依頼した。

徳仁天皇即位の当日の5月1日に休日で閑散とした学校に国旗がたなびく光景が報道されたことは記憶に新しい。

即位に際して、各学校がどのような内容で「国民こぞって祝意を表する意義」を理解させようとしたのかは、現在のところ詳らかではない。だが、この通知に添付された参考資料のなかには、「代替わり」関連の儀式を説明した2019年3月14日付の「政府広報オンライン」が含まれている。

ここには、「剣璽等承継の儀」、「即位後朝見の儀」、「即位礼正殿の儀」など、皇室神道の儀式も掲載されているので、文部科学省は、こうした、皇室神道の儀式の意義を生徒児童に理解させることで、国民統合に利用しているように映る。

天皇の「代替わり」に、国民統合を目的にした学校を利用しようとするのは、戦前の発想そのものである。