世界経済低迷の最大原因・中国が退場すればデフレが終わる

暗黒の平成の後、バラ色の令和となるか
大原 浩 プロフィール

生産性の向上は身を亡ぼすときがある

そもそも、世界経済における供給過剰はどのようにして生じたのか?

もちろん、製造技術、特に日本製をはじめとする工作機械の品質が格段に向上し、製造機械を設置さえすれば、どのような国で誰がやっても製品(特にコモディティ)を生産できるようになったことがあげられる。

例えば、農産物は現在基本的には生産過剰で、1次産品(コモディティー)をいくら頑張って生産しても、なかなか豊かにはなれない。農産物を生産するプランテーションと貧しさのイメージが密接につながっているほどである。

農産物同様、家電や半導体などの工業製品もコモディティー化している。日本で家電や半導体のビジネスが苦しんでいるのは、経営者の資質や従業員の働きぶりの問題というよりも、産業そのものがコモディティー化した必然的結果なのである。

コモディティー化したビジネスは、発展途上国に任せればいいのに、国民の血税まで投入して、それらの企業をゾンビ化するから余計問題が悪化する。

血のにじむような努力をして生産性をあげても、同業者も死に物狂いで同じ努力をしている。結果は、さらなる供給過剰と価格の下落(デフレ)である。

個々の企業にとっては正しいように見えても、市場全体としては泥沼にはまる典型である。

 

実は、投資の神様・ウォーレンバフェットも、バークシャー・ハサウェイという繊維会社を半世紀ほど前に買収した時に、やはり「生産性の向上」で乗り切ろうとして大失敗した。いくら生産性を向上しても、同業者がすぐに追いついてくる。

さらに悪いことには、当時、経済復興が目覚ましかった日本をはじめとするアジア諸国に追い上げられ「供給過剰の泥沼」に陥った。

結局、繊維事業から撤退し、現在の投資会社としてのバークシャーが誕生したのである。

バフェットは、この一件を人生最大の過ちの1つにあげているが、バークシャーの経営陣をほめたたえて、「どのような優秀な経営者でも再生できないビジネスは存在する」という言葉も残している。