川村元気「『きつい仕事』と向き合うことで生まれるものがある」

『百花』発売インタビュー【後編】
伊藤 達也 プロフィール

海外ではマルチな仕事は当たり前

――もう一つ伺いたいことがあります。プロデューサーと小説家で使う脳は違うのではないかと考えてしまうのですが、多様な仕事がコンフリクトすることはないでしょうか。

川村:そう聞かれるのって、日本だけなんです。アメリカだろうが中国だろうが、そういう質問はされません。『君の名は。』のハリウッド実写版を共同でプロデュースしているJ・J・エイブラムスは、『アルマゲドン』の脚本家であり、『スターウォーズ』の監督でもあり、プロデューサーです。世界で一番優れた監督のひとりであるクリント・イーストウッドは俳優ですよね。そしていま、アカデミー賞に一番作品を送り込んでいるプロデューサーはブラッド・ピットです。だから脳は、分かれてないですよ。

 

――たしかに、成功しているクリエイターの人は多才ですよね。

川村:でも万能に見える人でも、相談相手は必ずいるんです。僕はすごく恵まれていて、様々な映画監督やミュージシャン、俳優、小説家の先輩方と話しながら、お互いに「こうしたほうがいいのでは」とアドバイスをしあっているんです。

――『百花』も映像化が期待される作品ですが、ご自身で監督、プロデュースしたいですか?

川村:どうでしょう……実は、認知症になる母親・百合子は吉永小百合さんをイメージして、アテガキしたんです。誠に勝手にながらアテガキをさせて頂いたら、吉永小百合さんに帯文を書いていただくという奇跡が起きました。もちろん映画化のときは……と思わずにはいられませんが、そこまで欲を出すとバチが当たりそうなので、何も言わないようにします(笑)。