photo by iStock

オリンパス粉飾事件 収監目前のキーマンが明かす「人質司法の実態」

捏造・偽造・もみ消しも…?

巨悪は眠らせない。かつて特捜検事はこの思いを胸に捜査に当たったという。しかし、近年は政治家を標的とせず、経済事案の摘発ばかり。金融の専門知識に乏しい検察官と裁判官の暴走が目に余る。発売中の『週刊現代』では、'11年に発覚したオリンパスの巨額粉飾決算事件をめぐる人質司法について特集している。

家族とも会えない

オリンパス粉飾決算事件が今年1月下旬、ひっそりと幕を閉じた。

'12年2月の容疑者逮捕から約7年。オリンパスに簿外損失が存在している事実を承知した上で、損失隠しやその解消に協力したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の共犯などの罪に問われたコンサルティング会社「グローバル・カンパニー・インコーポレート」(GCI)社長の横尾宣政氏(65歳)ら3人に対し、最高裁は上告を棄却。横尾氏と羽田拓氏(56歳)の実刑判決、小野裕史氏(57歳)の執行猶予付き有罪判決が確定した。

なお、横尾氏は野村證券第2事業法人部時代に莫大なコミッション(手数料)収入をもたらし、バブル期に日本一稼いだ証券マンとしても知られる。

その横尾氏は、オリンパスが簿外損失解消に利用したベンチャー企業3社の株式を、不当な高値で「群栄化学工業」(群馬県高崎市)に販売した詐欺罪でも起訴された。

さらに3人は勾留中の'13年7月、簿外損失解消に協力した報酬を、租税回避地のリヒテンシュタイン公国の財団法人に隠匿した組織犯罪処罰法違反(マネーロンダリング)の罪にも問われた。

3人は東京地検特捜部が構築した事件のシナリオを一貫して否認。横尾氏と羽田氏が966日、小野氏も831日にわたって東京拘置所などで勾留された。経済事件では前代未聞の長期勾留だ。

刑務官に伴われ、手錠・腰縄付きで公判に出廷する惨めな姿は、日本の刑事司法制度の闇とされる「人質司法」の実態を如実に物語るものだった。

不本意な収監を目前にした横尾氏に、特捜検察の強引なシナリオ捜査や旧態依然とした人質司法などについて聞いた。

 

―966日間も勾留した検察と裁判所の狙いは何だったのか。

横尾 無罪を主張する被告が拘置所の外に出て、潔白を訴えるのを防ぐのが、人質司法の狙いです。

私は1審公判で自分の罪に関連する証人尋問が終了するまで勾留されました。「犯罪証拠を隠滅される」などという理屈は真っ赤な嘘で、特捜検察の嘘を暴かれないようにするために保釈しないだけなのです。

その間に接見できるのは弁護人のみ。家族とも接見できません。

私は知人の紹介で依頼した弁護人の能力に強い不満を感じていましたが、連日接見する当人に「あんたではダメだから、他の弁護士を連れて来い」とはさすがに言えない。最も辛かったのはその点です。

―勾留された3人が否認を貫けた理由は?

横尾 特捜検察が立件した経済事件では、逮捕された部下が、検事に迎合して上司を売るのが当たり前だそうです。羽田と小野も取り調べ検事から「横尾を売れば、すぐにでも保釈してやる」などと誘惑されました。

しかし、主任検事(キャップ)を務めた森本宏検事(現・東京地検特捜部長)が描いたシナリオがあまりにも杜撰で、罪を認めようにも認められなかった。