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電動スクーター、トラック、航空機まで…ウーバーが描く「移動」の未来

ライドシェア最大手のしたたかな戦略
陰山 孔貴 プロフィール

収益性には難ありだが…

実際、ライドシェア・サービス最大手のウーバーは2009年の創業以来、世界各国にそのサービス網を拡げることにより、売上高を拡大させてきました。

ウーバーの2018年の売上高は113億ドルにものぼります。日本円では1兆円以上になります。ただ、収益性は決して良いものではありません。2018年の営業利益額はマイナスで、その額は−30億ドルです。

現在、ウーバーは売上高やシェア拡大を優先しているためか、収益性という面では問題をかかえている状態です。

 

ただ、このような中、ウーバーはニューヨーク証券取引所に5月10日株式上場を行いました。その初値は42ドルで時価総額は約765億ドルになりました。日本円にして約8.4兆円です。

収益面で難があるウーバーがこのような時価総額となるのは、今後、事業が拡大していくと、規模の経済も働き収益性も改善してくるだろうという見込みが多くの方にあるためでしょう。

さらには、利益重視の経営に今後ウーバーが舵を切るという見込みをもっている方もいるかもしれません。

また、他にも、今後の技術発展の結果、自動運転技術が確立されると、ライドシェアが世界でさらに拡大することは「既に起こった未来」であり、長期的には魅力的なビジネスだと多くの方が考えているためでしょう。

電動スクーターからトラック、航空機まで

ウーバーは先述したシェア型電動スクーターのライムにも出資を行っています(2018年に3億3500万ドルの資金調達を行った際にウーバーも出資しています)。さらに、ウーバーは電動自転車シェア事業「ジャンプ・バイクス」を手掛ける企業も買収しています。

今後、自動運転技術が進展すれば、乗用車だけではない他の移動手段にも自動運転技術が活用されます。その時に、多くの選択肢を顧客に提供できる状況をウーバーがつくりたいと考えることは当然とも言えます。そのため、電動スクーターなど自動車以外の企業に対し、ウーバーが出資することは理にかなっているように感じます。

また、運ぶものは何も「人」でなくても「何でも」良いわけです。たとえば、ウーバーは、ウーバーイーツというレストランの出前サービスも展開しています。この場合、運ぶモノは「料理」になります。日本でもこの事業は積極的に展開していますので、実際に見た方や頼まれた方もおられるのではないでしょうか。

また、ウーバーはトラック事業も展開しています。私がお世話になっている先生も、近々、カリフォルニアからペンシルバニアに引越しを行うのですが、ウーバーのサービスを利用すると言われていました。価格も一般的な引越し会社に頼むよりもリーズナブルだとも言われていました。

さらには、ウーバーは今後、航空機事業も行おうとしています。その名は「ウーバーエアー」です。実際、電動の垂直離陸(VTOL)機の実用化にむけその動きを加速させています。ウーバーのマークをつけた電動の垂直離陸(VTOL)機が世界の空を飛び回るのも、もしかするとそんなに遠い世界の話ではないのかもしれません。

このようにウーバーの展開は今後もますます拡大していくでしょう。今後の可能性について考えるだけでもワクワクしてしまいます。

「損して得取れ」

古くから言われることわざですが、現時点では収益性で苦しい面はありつつも、そこにはしたたかなライドシェア最大手の戦略があります。