「地方銀行」という構造不況業種はもうこのままでは生き残れない

環境変化を理解すれば転換の姿もわかる
高田 創 プロフィール

そもそも上場の意味はあるのか

もう1つ迫られているのが、配当等の社外流出を持続性ある水準に見直すことである。いってみれば、地域銀行の資本政策の「持続的なエコシステム」実現にある。その場合、収益や配当の目標水準のレベルを引き下げ、非上場化による選択肢も検討する必要がある。

今日、地域銀行の株主が期待するリターン水準と現実問題として達成可能なリターン水準とのギャップがある。厳しい地域経済を背景に、利益水準の維持が困難な地域銀行の場合、非上場化によって収益目標を引き下げることも一案になる。

その場合、既存制度の「株主コミュニティ制度」を参考に、「上場と非上場の中間的な受け皿」のような制度を導入することも検討の余地がある。

ましてや海外の投資家の株式保有を前提に、地域銀行が高い配当水準や株主還元を維持する必然性は乏しい。信用金庫のように地元に理解がある出資者の水準に沿った配当水準の在り方も参考になる。また第2地方銀行も、歴史を辿れば相互銀行として地域の相互扶助を担ったコミュニティの存在であった。

地域の産業を含めた持続的な「資本エコシステム」を構築するとともに、財務的に配当として地域の実態に沿った配当に引き下げることでの持続性のある収支構造を確保することが重要な対応だ。

戦後の金融行政は、コミュニティ的な金融機関を、一律に普通銀行へ転換する方向に向けられ、信金から地銀への転換、相互銀行から第2地銀への転換が行われた。

その際、資金調達力を向上させる観点からも、株式会社の信用度と銀行によるガバナンスが重視された。それはあくまでも規制下での銀行の超過利潤の存在と企業の旺盛な資金需要といった戦後拡大モデルの中での対応であった。

 

一方、今日、マイナス金利政策も含め収益環境が劣化し、地方銀行が構造不況ともされる環境下、地域のなかで持続的なエコシステムを実現するには、配当水準を低下させ、地域の収益性の水準に沿った収支構造に再構築することも必要になる。

今日、上場基準のあり方が話題になるが、単にプレゼンス確保のために上場の維持を目的化するよりも、持続的な収支構造実現のため非上場化の選択肢も存在する。昨今の議論は従来、当たり前とみられた形態を抜本的に見直す契機となりうる。

本当に「銀行」の形態に拘る必要があるのか、上場を維持する必要があるのか等、まで問われることになる。

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