「地方銀行」という構造不況業種はもうこのままでは生き残れない

環境変化を理解すれば転換の姿もわかる
高田 創 プロフィール

地方銀行に待ち受けていること

戦後日本の産業政策では、構造不況業種では産業調整が行われてきた。一般的に、次の3段階の対応となる。第1に、当該業種が構造不況業種に指定され、独禁法の適用除外を受けて不況カルテル等も行われる。第2に、産業政策上の観点から抜本的な合理化や再編による収支改善策が行われる。第3に、新たな産業分野への転出が促進されることだ。

このような伝統的な産業政策を地域銀行に当てはめれば、構造不況との認識から、独禁法の適用を緩め、地域での再編を促進される、次いで抜本的な合理化を行う、同時に、新たな業務分野への転身を促進させることになる。

結論として、従来にないレベルで再編を行うことと、収支を地域で持続的な水準とするべく、不稼働になった資産への対応と配当の正常化。同時に、地域商社化を含め新たな分野での収支拡大に向けた動きが必要になる。

第1は、地域での競争政策との関係である。昨今も地域銀行の合併事例や経営統合事例があるが、独占禁止法との関係で合併が進みにくかった、という事情もあった。

そもそも、都道府県単位に営業範囲がまとまっているという競争環境が、今日の実態に即したものなのかも議論の対象にすべきだろう。

今日、金融という最もグローバルな市場が舞台となる産業のなか、どこまで地域における競争環境が適用されるのか。サプライチェーンの拡大で、都道府県の枠組みを超えた業務分野の広がりが生じている。道州制の議論が高まるなか都道府県に限定した議論のままでいいかも問われる。

筆者が銀行に入社した今から37年前、20行を超えた大手銀行は、今や3メガグループに集約された。一方、地域銀行はほとんどが変わっていない。地域銀行の再編はまさにこれたらが本番だ。

 

構造変化に対処した抜本的対応とは

第2は抜本的合理化による収支改善である。

1990年代の後半の金融危機は、不良債権問題に起因したバランスシート問題、資本の棄損にあり、その処方箋は資本の棄損を埋めることであった。そして、一時的対応として公的資金も含めた資本増強で行われた。

一方、今日の銀行危機の本質は収支問題であり、公的資金のような一時的な対応ではなく、継続的に収益を生み出す形に、収支構造を改変する必要がある。

地域銀行は、戦後長らく、貸し出しの需要も利ざやも確保されており、資金さえ集まれば儲かる状況にあった。それゆえ資金調達の機能が中心のビジネスモデルであり、商業銀行機能に重点が置かれ、資金調達インフラとしての人事や部店・店舗組織を効率的に作り上げることが経営の目標となっていた。

その環境、もしくは基本条件が、1990年代後半以降、金融自由化で規制金利体系がなくなったこと、企業の旺盛な資金需要が資金余剰化に伴って喪失したこと、さらに、日銀のマイナス金利も含めた超低金利政策の下で、長短金利差が喪失したことが要因となって、一変してしまった。そのため資金調達を主目的にした営業店を中心とした部店組織や人員は、現在の環境下では不稼働資産化している。

そこで、これまでの組織と人員を当然作り替えなければならない。

本部の指揮のもと、営業部店が従順に調達に励むという「陸軍歩兵部隊的人事体制」の発想から、「ビジネスチャンスを自ら作り上げる経営者を自ら独自に育成する」発想が必要になってくるし、さらに、今後フィンテック等の動きが強まったことで、店舗設置も含めた抜本的な再編が迫られてもいる。

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