佐藤:私は「議員辞職勧告」ということには基本的に反対です。どうしてかというと、それは議員が自分で決めることだし、彼らは有権者に選ばれているので、勧告決議で議員をどんどん辞めさせてしまうということになると、民主主義に大きな影響があるから。
でも今回は緊急事態です。この人には一刻も早く政界から去ってもらわないと、またやる。
邦丸:はあ~。
佐藤:しかも調子に乗って、「言論の自由だ」とか言ってまたガンガン始めているでしょ。じゃあ、戦争になったらお前が自分で行くのか。そのような言葉を国会議員でありながら軽々に口にして、それが国益にどれだけの悪影響を与えたかということを理解しようともしない。
それに対して、松井さんは立派だ。
邦丸:松井一郎大阪市長・日本維新の会代表。
佐藤:松井さんは、ことの深刻さをわかっているわけ。そのレベルの違いですよね。
メディアの報道も、本質は発言内容がどうこうじゃないんですよ。彼の行動が、どういう事態に発展する可能性があったのか。今回の発言だけでも、鈴木さんとガルージン大使が話をせず、クレムリンに電報を打っていなかったら、プーチン大統領がひと言「いったい、どうなっているんだ」と言ったら、日ロ交渉は全部止まる可能性があった。
邦丸:もっと穿った見方をすると、ロシア側にとっては有利に交渉を進める材料になったかもしれませんよね。「あなたの国に、こんなことを言っている国会議員がいるんだけど、どうなんだ」ということになると、大きな借りになっちゃいますよね。
佐藤:いや、貸し借りよりも、ロシア人というのは、こういう物事の本質にかかわることは駆け引きではなくて、「いったい、日本人という人々は、きちんと付き合える相手なのかどうか」という深刻な問題だと捉えるんです。