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# 日本経済

日本のGDP、リーマン級の危機はなくても結果は「最悪」だった

景気は明らかに減速している

表面的には「良い結果」だが

5月初旬にも妥結するのではないかとみられていた米中貿易交渉が米トランプ政権側から反故にされ、逆に中国からの輸入品に対し25%の制裁関税が課せられる事態となった。これに対し、中国側も6月から米国からの輸入品に対して制裁関税を課すことを決めた。

ベネズエラを中心とする中南米の政治情勢の混乱に加え、トランプ大統領のFRBに対する利下げ要求を「実は米国経済の実態は悪い」と解釈したことが、中国側の交渉姿勢を強気に転じさせた可能性が高い。

だが、残念なことに、この中国側の分析ミスがトランプ政権を激怒させ、米中交渉をミスリードさせたと思われる。

さらに米トランプ政権は、中国の通信企業に対する締め付けも強化するなど、お互い強硬姿勢に強めており、早期の交渉妥結が難しくなりつつある。

また、中国政府の景気対策により、底打ちしたかにみえた中国経済だが、新たに発表される経済指標の多くが中国経済の再失速を懸念させるものとなっており、先行き不透明感が高まりつつある。

このように先行きに対する不透明感がますます高まる世界経済情勢の中、5月20日に発表された日本のGDP(国内総生産)第1次速報値の注目度は従来になく高かった。

結果は、「表面的には」大方の予想を覆す良い結果であった。「ヘッドライン」といわれる2019年1-3月期の実質GDP成長率は、季節調整済み前期比で+0.5%(年率換算では+2.1%)と、予想に反するプラス成長となった。

だが、残念ながら、実際の内容はヘッドラインの表面的な数字とは裏腹に、かなり悪いものであったと考える。

 

結論から先にいえば、個人消費、設備投資、輸出の「主要3項目」の伸び率がすべてマイナスで、輸入の伸びのマイナスが成長率を大きく押し上げるというパターンは、GDP統計に基づく状況判断としては、「最悪」の部類に入ると考える。

そこで、あらためて、2019年1-3月期のGDP統計の内容を振り返ってみる。

日本経済は厳しい局面

まず、軒並み前月比マイナスとなった主要項目からみてみよう。

民間最終消費支出が前期比で-0.1%、民間設備投資が同-0.3%、輸出が同-2.4%といずれも前期比でマイナスの伸び率であった。

GDP統計が現在の基準(2011年基準)で作成されているのは1994年以降だが、これらの3つの主要項目がすべて前期比でマイナスであったのは、100四半期中13回に過ぎない(図表1)。そして、これら13回のうち、10回はGDP成長率自体もマイナスになっている。

すなわち、今回のような全体の成長率がプラスであったケースは極めてまれである。ちなみに同様のケースで今回(2019年1-3月期)以外の2回は、1998年10-12月期、2016年4-6月期であった(図表1中の太字の部分)。