「多様性」真の理解の第一歩(ラトナ・サリ・デヴィスカルノ)

令和元年を迎え、「多様性」という言葉をよく耳にするようになりました。人種やセクシャル・マイノリティ、働き方など様々なシーンで語られますが、大切なのは自分とは違う生活や文化があると知ること。そして、リスペクトすることだと、わたくしは思います。

インドネシア独立の際に制定された国章には「Bhinneka Tunggal Ika」という言葉が書かれています。これはサンスクリット語で、「多様性の中の統一」という意味です。

1万4000超の島から成るインドネシアには、300もの種族が暮らしています。つまり、その数だけの言葉や習慣、文化があるのです。すべての種族を尊重しながら国をまとめるために、建国の父であるスカルノ大統領はこの言葉を国章に掲げました。

スカルノ大統領は「真の民族主義は他民族を尊敬することから始まる」とおっしゃっておりました。日本が連合国に降伏した2日後の1945年8月17日に大統領は独立を宣言していますが、独立宣言文の日付には日本の皇紀を用いています。350年にわたって植民地支配されてきたオランダを打ち破り、インドネシア独立のきっかけをもたらした日本に敬意を表したのです。

では、日本はどうでしょうか。わたくしはまだまだ「多様性」を理解していない方が多いと感じています。

たとえば、いまは観光客に限らず、多くの外国人労働者が日本に来ていますよね。その中にはイスラム教徒もいます。彼らは非常に慈悲を尊ぶ人たちですが、一部の過激派のイメージで「イスラム教徒はみんな怖い」と決めつけてしまう。これは多様性への理解が未熟だから生まれる偏見です。

だから、日本人は外国人を自国に受け入れるだけではなく、もっと自らが外に出ていくべき。外国に行くことで満足して日本人同士でコミュニティを作っていてはだめですよ。日本人の集団意識を捨てて、その国の人たちの中に飛び込んでいくことが多様性を知るためには大切。そして日本に戻ったら、自分の経験を伝えるのです。他民族への理解は、自分の国に対しての誇りにもつながります。

外国に行くことができなくても、新聞を読むだけでも違いますよ。今の人たちはネットニュースで記事を選んで読むから、世の中で起きていることに気づけません。でも、新聞ならパラパラめくるだけでも様々な見出しが目に飛び込んできて、自ずと興味が広がります。

すでに気づいている人は海外に出ています。特にIT業界の仕事は場所を選びませんから、積極的に外に出る人も多いですね。自分が日本ではなく世界の中の一人であると自覚し、視野を広げていくことが真の多様性を理解するための一歩です。(談)