WHOが調べた12種類の「認知症予防法」唯一ネガティブなのは…

今月の科学ニュース「サプリは無駄?」
熊谷 玲美 プロフィール

定期的な運動と禁煙は、特に推奨度が高い。バランスの取れた食事をすることや、過度の飲酒を避けること、血圧やコレステロール値、血糖値を健康なレベルで維持することも、認知症のリスクを低くする。

どれも、認知症予防だけでなく、さまざまな病気予防のアドバイスとして言われてきたことだ。

WHO事務局長のテドロス氏も声明で、「『心臓に良いことは脳にも良い』ということです」といっている。

テドロス・アダノムテドロス・アダノムWHO事務局長 Photo by Getty Images

「以前からわれわれは、そうではないかと考えていましたが、このガイドラインのために集められた科学的エビデンスによって、そのとおりだと確かめられました」

サプリメントと脳トレ

ところで、国内記事では取り上げられていないが、12項目で唯一、はっきりとネガティブな評価になった予防法があった。

サプリメントの摂取だ。

WHOのガイドラインでは、「認知症のリスクを低くする方法として、ビタミンBやE、多価不飽和脂肪酸、マルチサプリメントは推奨されるべきではない」としている。これまでの臨床研究で、認知症リスクを低くする効果が見つかっていないのだという。

サプリメント無駄だったのか? Photo by Sarah Pflug from Burst

ノッティンガム大学で認知症を研究するトム・デニング教授は、「(病気などで必要としないかぎり)ビタミンや栄養補助食品を使わないように勧めるのは歓迎だ。多くの人がお金を無駄に払うことがなくなるだろう」とコメントしている

もう1つ、気になった項目が「認知トレーニング」。いわゆる「脳トレ」だ。高齢者への認知トレーニングはおこなってもかまわないとされてはいるが、認知症リスクの低下と関連付ける確実なエビデンスはないという。

もちろん、脳トレで頭を使う習慣はよいことだし、有害な副作用もなさそうだ。ただ、認知症の予防法として有効かというと、疑問符がつくようだ。

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