最近、認知症に関するニュースが増えたせいだろうか。自分が、家族が、もし認知症になったら? 認知症になりにくくするために、今からできることはあるのだろうか? そんなふうに考えることが多くなった。
そんななか、「バランスの取れた食事、運動、禁煙と節酒が認知症のリスクを低くする」という見出しが気になった。
世界保健機関(WHO)が初めての認知症予防ガイドラインを発表したという、5月14日の英「ガーディアン」紙の記事だ。
日本国内でも、「認知症予防『運動が重要』 WHOが指針公表」(5月16日付「日本経済新聞」)、「運動と禁煙で認知症予防 WHOが手引」(5月17日付「読売新聞」)などと報道された。
このどちらかといえば控えめなニュースが気になったのは、おそらく、「○○が認知症に効果的!」といった調子のニュースやテレビ番組に慣れてしまっていたからだろう。
このWHOのガイドラインではまず、認知症は、加齢の結果として避けられないものではない、という点を強調している。
ライフスタイルや健康状態など、リスクをもたらす他の要因を変化させれば、予防できる病気なのだ。
そのうえで、認知機能低下や認知症を予防したり、進行を遅らせたりするために、ライフスタイルや健康状態をどう変えればよいのか、エビデンス(科学的根拠)に基づく方法を推奨している(ガイドライン本文〈PDFファイル96ページ〉はこちら)。
具体的には、運動や禁煙など12項目について、それぞれに認知症のリスクを低くする効果があるのかどうか、これまでの研究から得られたエビデンスを検証し、認知症のリスクを低くする方法、つまり予防法としての推奨度を出している。