ライターの雨宮紫苑さんは、現在ドイツ在住の27歳。22歳のときに「日本の就活は嫌だ!」とドイツに移住して、そこで山ほどの壁にぶち当たった。移住して5年あまりになるが、日本での「守ってあげたい女」がモテる要素のひとつと言われているのとドイツとでは大きく異なるという。その裏に潜む「弱さ」への考え方の違いがあるようだ。

ドイツでお酒にほろ酔いしたときの体験

「女性の魅力」について改めて考えたのは、ドイツで求められる女性像が、日本のそれとは大きくちがうと気づいたときだ。

日本にいるときは、「愛されメイク」や「抱きたい女」という表現があるように、女性はあくまで受身で、男性に選ばれる努力をすればいいのだと思っていた。

でもドイツで見かける女性は、なんだかみんな強そうなのだ。

背筋を伸ばしてキビキビと歩き、ハキハキと自分の意見を主張し、いつも堂々としている。となりの男性をちらっと見て、男性に「いいんじゃないか」と言われてから決めるなんてことはしないし、「え〜どうしよっかなぁ〜」と上目遣いすることもない。妙な人に絡まれたら、「触るな!」としっかり怒鳴る。

わたしがイメージする「かわいい女性」が、まったくいない。

こういったちがいを実際に体験したのは、大学3年生の夏、ドイツに留学したばかりのころだ。

もともとお酒に弱いわたしは、カクテルを飲んでみて驚いた。とにかくアルコール度数が強い! 半分も飲まないうちに、ろれつが怪しくなってしまった。

ビールの国ドイツ。カクテルも一見ジュースのようでアルコール度数の強いものが多かった Photo by iStock

とはいえ当時はまだ大学生で、この程度の酔いは日常茶飯事。記憶をなくしたこともないし、泥酔というほどでもない。日本ではまわりもそんな感じでお酒を楽しんでいたから、深くは考えていなかった。

しかし帰り際、みんなから真顔で「気をつけなよ」と言われた。 翌日も、「ああいうのはよくない」と本気トーンで数人に忠告を受けたほど。

日本では「酔ったふり」というモテテクがあるように、酔ってトロンとした女性が「かわいい」と思われることは多い(もちろんTPOと限度にもよる)。しかしドイツでは、仲間内とはいえ女が酔うことは「危機感の欠如」を意味するのだ。反省。

「弱々しい」は「モテ」要素?

去年上梓した拙著『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』でも、日本における「女性の魅力」について触れた。

・女性の声の高さは世界平均220ヘルツ。ドイツ人女性は165ヘルツで、日本の若い女性は350〜450ヘルツと声が高い(男性の世界平均は110ヘルツ)

・日本人女性は目を大きく見せるメイクをし、髪をふんわりさせ、弱く見せることに力を注ぐ

・高学歴の女性は、「プライドが高い」「高飛車」というイメージを気にして、合コンで出身大学を隠すこともある

といった内容だ。

日本では女性の「モテ」や「魅力」は多くの場合、弱さに結びついている。だから「守ってあげたくなる」が褒め言葉になるし、女性に対しての「ひとりで生きていけそう」は、あまりいい意味では使われない。

弱さを捨てた女性は時として、「男みたい」「女に見えない」などと理不尽な批判にさらされる。

一方ドイツでは、「守ってあげたい」=「人の助けが必要な自立していない人」という認識になるし、「ひとりで生きていけそう」と言われたら、「オトナなんだからあたりまえでしょ?」と首をかしげられる。

ジェンダーギャップ指数が149か国中110位で、さかんに「遅れている」と言われる日本。同統計で14位のドイツで暮らしてみて、「男女は対等であるべき」という価値観を体験すると、たしかに大きなちがいを感じる。