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ISの拠点と化すマレーシア「捕まったテロリストの意外な顔ぶれ」

ミャンマーを追われたあの難民が

ロヒンギャ難民とテロ組織

東南アジアのイスラム教国マレーシアで治安当局がこのほど逮捕したイスラム教徒テロリスト4人の捜査から、マレーシアが中東のテロ組織で弱体化が伝えられる「イスラム国(IS)」の新たな海外拠点になっている可能性があることがわかった。

逮捕された4人のテロリストに、マレーシア人、インドネシア人各1人に加えてミャンマー・ロヒンギャ族のイスラム教徒2人が含まれていたとことから、そうした事態がうかがわれるというのだ。

国際的なテロ組織あるいはテロのネットワークが地域の拠点として活動、メンバーのリクルート、資金や武器の調達、そしてマレーシアでのテロを画策しているとの見方が捜査当局者の間で浮上しているからだ。

 

ロヒンギャ族はミャンマーの少数イスラム教徒。2017年8月にミャンマー国軍による本格的な掃討作戦開始を受けてロヒンギャ族は主な居住地であるミャンマー南西部のラカイン州から国境を越えて隣国バングラデシュへの避難を余儀なくされた。その数は70万人に上る。

ミャンマー軍の掃討作戦は、ロヒンギャ族の武装組織による警察署などへの襲撃が契機となったものだが、ロヒンギャ族への軍の暴力、殺害、放火、略奪などは国際社会から「民族浄化」「人権侵害」として厳しい指摘を受けている。

ロヒンギャ族のイスラム教徒が難民として逃れたもう一つの行き先がマレーシアであり、今回そのロヒンギャ族がテロ組織の一員としてテロを画策していたことが明らかになり、マレーシアや周辺国の治安当局に衝撃を与えている。

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ラマダン期間中にテロを計画か

マレーシア警察は5月5日から7日にかけて、クアラルンプールや北東部トレンガヌ州クアラ・ベランで寄せられた情報や諜報機関の調査などを基にテロリストの一斉摘発に着手した。

その結果、マレーシア人とインドネシア人とロヒンギャ族2人の計4人を「治安犯罪法違反容疑」で逮捕するとともに、逃走して行方をくらましている残り3人(マレーシア人2人、インドネシア人1人)の追跡捜査を続けている。

警察本部のアブドゥル・ハミド長官は5月13日に記者会見を開き、「4人はいずれもISと関係があり、5月6日から約1ヵ月続くイスラム教の重要な宗教行事であるラマダン(断食)期間中のテロを画策していた」と語った。

このニュースを、地元メディア「ザ・サン・デイリー」や米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」、ロイター通信などが一斉に伝えた。

同長官によると、4人はヒンズー教寺院や仏教寺院、キリスト教教会などの宗教施設や娯楽施設などへの爆弾テロを計画していたという。そして、5月6日から始まった断食月の最初の週になんらかの行動を起こす予定だったとみられるとして、テロ実行直前の摘発、逮捕だったことを明らかにした。