地球惑星科学の第一人者が考える「伝統的科学」vs.「最先端科学」

ビッグデータ時代の到来と科学の未来
サイエンスリポート プロフィール

そこで藤井機構長は1970年代から「EISCAT(欧州非干渉散乱レーダー)」という国際プロジェクトの日本参加に、先駆的に尽力してきた。

その後、1996年からEISCAT科学協会に日本の代表機関として国立極地研究所が参加。現在は、北欧3カ所にレーダーを設置して超高層・中層(高さ60〜2000km)大気の密度、温度、動きなどを3次元で高解像度に測定する「EISCAT_3D(次世代欧州非干渉散乱レーダー)」の計画が進められている。

藤井「フェーズドアレイ方式という⽇本が得意とする⽅式を採⽤していて、電離圏へ放出する電波ビームを超⾼速に掃引することによって、対象とする領域の空間分布と時間変化を全部捉えられる、世界最先端の装置です。電離圏と磁気圏が複雑に相互作⽤している領域が観測対象に含まれているのも、⾮常に興味深いところです。

もちろん非常に高解像度なので、小さいものまで鮮明に捉えることができ、たとえば隕石が地球へ向かって落ちてくる軌跡などもトレースできます」

EISCAT_3Dは2021年からフル稼動を開始する予定だ。

またデータサイエンスの発展を促進するものとして、近年活発化するオープンデータやオープンサイエンスの動きがある。

藤井「データ整備だけでなく、その解析を含めたデータ利活用が新しいフェーズに入りつつあります。情報・システム研究機構を構成する研究所には、極域科学を担う国立極地研究所と、シミュレーションとデータを有効に組み合わせる『データ融合』を研究する統計数理研究所があり、大きなポテンシャルを感じます。

大学共同利用機関として、データ集積・公開・利用促進、大学等との連携・支援に貢献したいと考えています」

藤井良一 機構長(情報・システム研究機構)
ふじい・りょういち 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 機構長。1974年東京大学理学部卒、1977年国立極地研究所助手。1981年理学博士号取得(東京大学)。名古屋大学教授、同太陽地球環境研究所長、同副総長(2009〜2015年)等を経て、2016年情報・システム研究機構理事、2017年より現職。

専門は地球惑星科学。中でもオーロラが生起する磁気圏・電離圏に注目し、国際協力によって建設・運用されているEISCATレーダーの日本参加に尽力。

2003〜2004年EISCAT科学協会議長、2015〜2016年文部科学省  科学技術・学術審議会海洋開発分科会北極研究戦略委員会主査、2015年より内閣府 宇宙政策委員会宇宙産業・科学技術基盤部会宇宙科学・探査小委員会委員他、委員歴多数。