ALFA-X10号車の特徴的な先頭形状(写真:共同通信)

異形の次世代新幹線「ALFA-X」が、高速運転を目標にしない理由

背景にあるJR東の「生存戦略」

新幹線の常識を超えるデザイン

今年5月、次世代新幹線がシルバーの車体を輝かせながら登場した。愛称は「ALFA-X(アルファ・エックス)」。JR東日本が開発した10両編成の試験車両だ。

この車両の登場は国内外に報道され、大きな話題となった。とくに注目されたのは、10号車(新青森寄り先頭車)の先頭形状だ。

 

「ノーズ」と呼ばれる先頭部の長さが22mにもおよぶその姿は、従来の鉄道車両の常識を超えたものだったので、国内のみならず海外からも注目された。

多くのマスメディアが見出しにとったのは、速度だ。「ALFA-X」は北海道新幹線の札幌延伸を見据えて、時速360km(以下、360km/hと表記)での営業運転を実現するために開発されたとの報道が目立った。

360km/h運転が実現すると、鉄輪式鉄道では世界最速の営業列車が日本を走ることになるので、その点を強調した報道もあった。たしかにそう伝えた方がわかりやすいし、インパクトがある。

ところが、JR東日本が昨年と今年に公開したプレスリリースには、速度に関する記述がほとんどない。同社の関係者が「360km/hの実現に挑戦する」と発言したという報道があるいっぽうで、その速度をいつ営業運転に反映させるのか、そもそも反映させる予定があるのかを明記した資料は存在しないのだ。

なぜこのような「ズレ」が起きたのだろうか。その理由を、同社が公開した資料や、同社の経営環境から探ってみた。