ひざ・腰が痛い→歩きたくない→認知症→死亡が増えています

長生きが怖い、というあなたへ
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一人で買い物してますか?

先日(4月10日)、こんな興味深いデータが発表された。東京医科歯科大学などの研究チームが「自宅近くに食料品店がない人ほど認知症のリスクが高まる」と発表。

2010年から3年間、全国の要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者約5万人を追跡調査した結果、「近くに食料品店がまったくない」と答えた高齢者は、「たくさんある」と答えた人にくらべて1.7倍も認知症になる確率が高かった。

自分の足で店を訪れて、献立を考え、買い物をする。レジでも人と話すし、買い物の合計額やお釣りなどの計算もする。これらが認知機能に良い影響をもたらしている。

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前出の安村氏は「家族と同居している人のほうが、じつは認知症になりやすい」と語る。

「一人暮らしのお年寄りの場合、少々、ひざや腰が痛くとも自分で歩いてなんとかしないと生きていけませんよね。独居老人と聞くとマイナスのイメージが強いですが、そのおかげで健康寿命を長く保っている人もたくさんいるのです」

とはいえ、医者から「無理をしないでくださいね」と言われている人も多いだろう。では、ひざや腰が痛い人はどうすればいいのか。

「医者からの『無理しないでくださいね』という言葉の意味をもう少し正確に言うと、『痛みが悪化しない程度にどんどん歩いてください』ということなんです。

特にひざの関節痛をやわらげるには、ひざの周りにある筋肉を鍛える必要があります。痛みが悪化しないということは、悪くはなっていないわけです。

悪くならない範囲で動かすことが、ひざや腰の痛みを改善させるポイントなんです。もし、さらに痛くなるようでしたら、『そこまではやっちゃだめですよ』ということです」(安村氏)

 

歩くのが難しい人は、寝ながらひざを曲げたり伸ばしたりするだけでもだいぶ違う。テレビを見ながら足だけを動かすことでも効果がある。

「どうしても痛くて、治療してもよくならない人は、車椅子でもかまわないので、とにかく人と会って話すことを心がけてください。

痛いから歩いて外に出るのは『面倒だな』『億劫だな』と思う気持ちもわかりますが、自治会や町内会、マンションの理事会、登下校時の小学生の見守り、何でもいいので、外に出て積極的に他人とかかわっていくことが大切です」(辻内科循環器科歯科クリニック院長の辻正純氏)

ちょっとしたことで、歩くのをやめていると、認知機能は思いもよらないほど一気に低下する。子どもや孫の名前、果ては自分のこともわからなくなる。

つらい最期を迎えずにすむかどうかは、日々のこの瞬間にかかっている。痛みが強くならない程度に毎日歩く。それさえ心がけていれば長生きは決して怖くない。

「週刊現代」2019年5月11日・5月18日合併号より