「社内失業」という大問題を克服しなければ、日本経済の復活ナシ

「終身雇用」をどう考えるか
加谷 珪一 プロフィール

働かないオジサンが大量生産される理由

一連の出来事の背景となっているのは、日本型人事の制度疲労であり、もっと具体的に言えば、企業が大量に抱え込んだ社内失業者の問題である。

ここ数年、日本では人手不足が深刻な状況であると言われてきた。確かにその通りなのだが、すべての分野において人が足りないわけではない。もっとも人手不足が深刻なのは、小売店や外食チェーン、運輸、介護など、若い世代の労働者を大量に必要とする業界である。

過去10年における日本の人口はほぼ横ばいに近い状態で推移してきたが、総人口が変わらなくても高齢化は進んでおり、同じ期間で35歳以下の若年層人口は17%も減った。逆に中高年以上の人口は横ばいかむしろ増加しているので、現場を抱える企業を中心に、若い人材の確保に苦労する一方、事務職を中心に企業内には大量の中高年ホワイトカラーが余っている。

〔PHOTO〕iStock

リクルートワークス研究所の調査によると、日本企業の内部には、実は400万人もの社内失業者が存在しており、2025年には500万人近くになる見通しだという。これは全従業員の1割にも達する数字である。時代の変化で新しい人材が必要となり、採用を増やしているものの、スキルが合わなくなった社員を抱えたままなので、日本企業の総人件費は増大する一方だ。

配置転換を実施しようにも、新業務に必要とされるスキルと本人が持つスキルが一致しないため、社内の異動にも限界がある。結果として、事実上、仕事がない状態で社内の各部署に人材が埋もれてしまっている。ネットでよく話題になる、いわゆる「働かないオジサン」が大量生産される背景にはこのような事情がある。

 

実は外国人労働者など必要ない?

大量の社内失業者を生み出す根本的な原因となっているのは、説明するまでもなく終身雇用制度と年功序列の賃金体系である。企業は自らの都合で簡単に社員を解雇できないため、一度、雇った社員は半永久的に雇用する必要がある。市場環境の変化にすぐに対応できる社員は限られるので、どうしても人材のミスマッチが生じてしまう。

全員が一律に昇進するのではなく、業務や能力に応じた給与体系になっていれば、ずっと現場でよいという社員も出てくるので、仮に終身雇用であっても企業の負担はそれほど重くならない。

だが、基本的に全員が年次で昇進し、形だけであっても管理職に登用されるシステムのままでは、賃金が高く、現場の作業を忘れてしまった大量の中高年社員が出現するのは必然といってよい。

社内失業の問題は実は日本経済に深刻な影響を与えている。