ホリエモン独占告白「僕がロケット開発の先に見る夢」

日本は宇宙産業で一位になれるから
三戸 政和 プロフィール

ZEROの成功がマイルストーン

三戸:宇宙ビジネスは今後ますます盛り上がると思いますが、そこで堀江さんはいったい何をするんでしょう?ロケットが成功するまでは、大きなことをいわないように自制していたとおっしゃっていましたけど、今回は大いに語ってください。

堀江:足元のことをいえば、まずは今回の成功で目処がついたMOMOを定常的に打ち上げて事業化する。今回のMOMOのような軌道をサブオービタルというけど、サブオービタルを使いたいという需要がある。広告とか科学実験とかね。

そして次の軌道投入機ZERO。超小型衛星といった100キロ以下のペイロード(荷物)を高度500キロまで運んで、軌道投入する。このZEROの成功が、ウチにとっての重要なマイルストーンになる。

今回の成功を受けての会見。思わず笑みがこぼれる

超小型衛星の打ち上げ市場はいま、ものすごい勢いで拡大している。超小型衛星は、去年打ち上がったのが250機くらいで、今後5年間ではその10倍くらいの数が打ち上げられるらしい。こうした小さな衛星はこれまで、大型ロケットの隙間に載せてもらってたんだけど、大型ロケットは打ち上げに100億くらいかかるのでその数は限られるし、打ち上げ時期も軌道も選ぶことは出来ない。

でもウチのロケットはスーパーカブだから、お客さんのご要望通りにいつでも打ち上げられますよというものになる。これを1回5~6億円でやるのがいまの目標。

ZEROの開発は並行して進めていて、ZEROに使う6トン級エンジンの最初の燃焼試験はもう済んでいる。5年後には超小型衛星の打ち上げマーケットはさらに大きくなっているだろうし、その頃までにはZEROでマーケットに参入していきたい。

そうなると、さらに資金も集まってくるだろうし、ウチのロケットはスケールアップしやすい設計なので、大型ロケット「ZEROヘビー」の開発も始められる。それが実現すれば、有人飛行も可能になるし、月や小惑星の探査機を載せることもできる。

この間、はやぶさ2のプロジェクトマネージャーと話をしたけど、彼らの悩みは10年に一度しか探査機を打ち上げられないことだそう。はやぶさ2は大きな成果を上げつつあるけど、彼らはそういうプロジェクトを、ぶっつけ本番でやっているんだから、ホントすごい。ここにもニーズがあると思っていて、ロケットをローコストでどんどん打ち上げられるようになれば、宇宙探査のための新しい技術を試す機会を増やすことが出来て、探査技術の進化を早められるだろう。

 

もっともっと遠くへ

三戸ということは、有人飛行や宇宙探査も視野には入れているんですね?

堀江:ウチの会社のテーマは会社の名前に書いてある。インターステラテクノロジズ。ステラは恒星で、インターステラだから、恒星間。会社としては、恒星間飛行のための技術を目指している。

そのためには燃料という課題がある。太陽系を広く探査したり、恒星間飛行をしたりするためにはいまの化学推進剤では全然ダメで、もっと効率の良い推進システムが必要。燃料の候補はまずは原子力なんだけど、原子力ロケットは地球から飛ばすわけにいかない。失敗して落ちてきたら大変だから。

そうなると地球の外で、核物質を探さないといけない。火星と木星の間には小惑星帯があるけど、小惑星には、岩石主体のもの、金属が含まれているものなど、いろいろなタイプがある。その小惑星の中に、水を持つものやウランを持つものがあるんじゃないかと思っている。

だからまずは、小惑星を赤外線で調べる宇宙望遠鏡を打ち上げたい。小惑星帯をしらみつぶしに調べて、ウラン鉱床を持つ小惑星を見つけられれば、空の原子炉を打ち上げて、現地でウラン燃料を詰めて、原子炉を稼働させられる。原子力エネルギーがあって、ほかの小惑星から、水や基本的な物質を手に入れることが出来れば、人の移住する環境を作ることも出来るし、原子力という大きなエネルギーを備えた探査機を太陽系中に送り出すことが出来る。

小惑星帯に人類の拠点が出来れば、地上では出来ないことがいろいろと出来る。巨大な加速器を使った、反物質を製造する研究もそのひとつ。反物質は原子力以上に密度の高いエネルギー源で、恒星間飛行には絶対に必要だと思っている。

ほかにもコールドスリープとかSF的な技術を実現させることが必要だけど、いつか、反物質エネルギーを使った船を作って太陽系の果てを目指したい。ニューホライズンズが見た冥王星を越え、オールトの雲を抜けて、隣の恒星系へ行く。

そのためにいまはまず、安くて手軽な宇宙の輸送業を実現させて、宇宙をビジネスや生活の場にしたい。年間、何万もの人が宇宙にいくようになれば、軌道上のインフラもどんどん充実して、宇宙が日常になる。そうなれば、馬車の時代に自動車が想像できなかったような、いまでは考えられない、大きな変化が現れて、もっともっと遠くへ行くための方法が見つかるかもしれない。

三戸:壮大な夢をありがとうございました。宇宙起業家としてのご活躍をこれからも楽しみにしています。