ホリエモン独占告白「僕がロケット開発の先に見る夢」

日本は宇宙産業で一位になれるから
三戸 政和 プロフィール

宇宙の「スーパーカブ」を作りたい

三戸でも宇宙に行くのに、地上の発想では考えられないくらいのお金がかかるというのは事実ですよね。

堀江:そこを解決しようというのが、ウチのロケット。宇宙でビジネスをするには、宇宙に人や荷物を運ばないといけない。宇宙に人や荷物を運ぶのにお金がかかるということは、宇宙のビジネスを始めるのにはとてもお金がかかるということ。そこがボトルネックになって、宇宙ビジネスの参入障壁はスゴく高い。参入障壁が高いビジネスというのは絶対に広がることはない。

三戸:宇宙にアクセスしないと宇宙ビジネスは成り立たないけど、宇宙にアクセスするためにまだお金がかかりすぎる。

堀江:そう。なぜそうなっているかというと、国が関与し過ぎていたから。国が作るロケットはF1カーだっていったけど、そもそもロケットって輸送業だから、荷物を運ぶためにF1カーを使う必要はない。ロケットなんてもっとコストが低いものでいい。でも国が税金を使うのに「ギリギリで宇宙に届くロケットを作ります」なんていえないから、F1カーを作り続けることになっていた。

ウチのロケットに使うエンジンの技術なんて、60年代に確立された枯れた技術。コストは低いし、間違いもない。宇宙に荷物を運ぶだけならそれで十分なんだよ。ウチのロケットはいわば「スーパーカブ」。

三戸:スーパーカブで荷物が宇宙に届くようになれば、たしかに宇宙ビジネスが広がりそうです。

堀江:宇宙にだれもが安く、気軽にアクセスできる環境を作らないと、宇宙は身近にならないし、ビジネスも生まれてこない。

いまの国際宇宙ステーションでは科学実験ができるというけど、実際にやりたいと思ったら、大変な手続きと審査があって、それには時間が掛かるし、機材を持っていくためにも、ロケットの打ち上げを待たないといけない。スピードの速いビジネスの世界で、そんな時間をかけてたら、時代遅れになってしまう。

でも、飛行機が毎日飛び立つように、スーパーカブのロケットが毎日飛び立つということになったら?宇宙にどんどん人や機材を安く簡単に運べるようになるから、それを利用しようという人やビジネスは爆発的に増えるでしょ。

三戸ロケットがいまの飛行機と同じ感覚になって、宇宙へ1週間出張行ってきます!ってレベルになったら、宇宙に対する意識は全然変わりますね。

堀江:多くの人の意識と関心が宇宙に注がれると思う。ひとつの産業が社会に根付くには、たくさんの人が意欲や希望を持って、そこにワーっと入ってくるフェーズが絶対に必要。新しいアイデアは限られた人数からは出てこない。有象無象の、さまざまな人がごっそり入ってきて、いろいろな知恵を絞るから、いろいろなビジネスが生まれるわけ。

 

宇宙を日常に

三戸:最近、人工衛星を使ったビジネスが、少しずつ出てきてますね。

堀江:日本のALEっていうベンチャーが、JAXAのイプシロンロケット4号機に衛星を乗せて打ち上げた。衛星から特殊な素材の粒を放出して、好きな時間で好きな場所に流れ星を作るというビジネスをやろうとしてる。こんな発想は、絶対に民間からしか出てこない。

今回のMOMO 3号機には、相模原の「とろけるハンバーグ」を宣伝のために載せたけど、そんなちょっと笑っちゃうような利用の仕方もかなりアリだと思う。4号機は、さらに話題性のあるものを乗せる計画で動いているので、楽しみにしてほしい。

いま、人工衛星はどんどん小型化して、作るのも安くなっている。だからあともうひとつのピース、安くて手軽なロケットというピースが絶対に必要。

安く、すぐに打ち上げられるということが重要で、超小型衛星を使ったビジネスが、会社の中間管理職レベルで決済できる額になれば、大きな変化が起きるはず。

三戸:GPSも人工衛星を使ったサービスですが、だれもそんなこと意識してませんよね。そういうサービスが増えてくるということですね。

堀江:GPSもここまで利用されるようになったのは、民間に開放されたから。GPSは開放された当初、あえてノイズを乗せて、精度を悪くしていた。100メートルくらいの誤差があったと思う。でも民間はそれを工夫して、センサーを使ったり、誤差を補正する手段をいろいろと生みだした。結局、ノイズを乗せても意味がないとなって、精度劣化は解除されて、あらゆるものにGPSが利用されるようになった。完全に日常に溶け込んだよね。

GPSを使ったサービスのようなものがどんどん増えていって、宇宙がいまのインターネットみたいに、高尚なものから低俗なものまで、いろいろな使い方ができる環境にしたいと思っている。宇宙を身近に、日常に。