血管を「3Dプリンタ」で作製成功!「100%細胞だけ」再生医療へ

2人のリケジョに開発秘話を聞きました
「3Dプリンタを使用し皮膚の細胞から人工血管を作り出すことに成功、2019年に臨床実験開始予定」というニュースが報じられ、注目を集めている再生医療ベンチャー、サイフューズ。

細胞を立体的に積み上げる独自技術を持つ同社は、開発したバイオ3Dプリンタで軟骨、血管、神経などを作製できるといいます。人体に移植できる組織が、3Dプリンタで作れるようになっているとは……!

サイフューズ代表取締役の秋枝静香さんと、血管プロジェクトを担当する松林久美香さんに、「リケラボ」編集部が話を聞きました。

生物学と工学が融合! 細胞だけで作る立体的組織

──3Dプリンタを使って血管や軟骨、神経などの組織を作れると聞きました。どのような技術なのでしょうか?

秋枝 細胞同士が集まり、くっつくという性質(細胞凝集現象)を利用して、立体的な組織を作製しています。

左:血管プロジェクト担当の松林久美香さん 右:代表取締役の秋枝静香さん

秋枝 まず初めに1万個程度の細胞を集めた団子(=スフェロイド(細胞塊))を作ります。そしてこの団子を、“Kenzan”と呼ばれる、華道で使う剣山のような土台に積み上げることで、やがて細胞塊同士が融合し、血管などのチューブ状の構造体ができていきます。

細胞塊がある程度一体化したところで剣山から外して、さらに一定期間培養し、強度や機能性を高めます。剣山に細胞塊を積み上げる工程で、当社が開発したバイオ3Dプリンタ「regenova®(レジェノバ)」を使用します。

──血管や神経にもさまざまな太さがあると思いますが、調整できるのでしょうか?

秋枝 作製したいサイズ・形状の3Dデータを装置に入力することと、剣山の針の並び方をアレンジすることで、形や大きさを調整することができます。ちなみに「針に刺す」という仕組みは、当社の創業者でもある、中山功一教授(現 佐賀大学医学部臓器再生医工学講座特任教授)の発想から生まれました。

骨折の治療法からヒントを得て、骨がくっつくまでピンとプレートで固めるのと同じように、「細胞同士を仮止めしておいて、融合したら土台から外せばいいのでは」とアイディアが浮かんだそうです。細胞塊は0.5mmほど。

当初は手作業でひとつひとつ剣山に積み上げていましたが、何日もかかってしまうため、より速く正確な作業ができるようにと、3Dプリンタを開発しました。3Dプリンタの開発には金沢にある澁谷工業さんという会社がサイフューズの創業前から協力してくださり、現在に至っているので本当に感謝しています。

──サイフューズの組織再生技術が画期的な点はどんなところですか?

秋枝 100%「細胞だけ」で立体的な厚みのある大きな組織を作れるという点です。

従来の組織再生の研究では、人工的な材料、牛や豚など動物由来の材料(スキャフォールド)を混ぜることが一般的でした。我々の技術では、人工材料をいっさい使わずに組織を作ることができます。