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米中新冷戦 ファーウェイ「禁輸リスト入り」に中国が沈黙する理由

「ハイテクのカーテン」は降ろされた

アメリカが「奥の手」を繰り出した

先週、アメリカ時間の5月15日、ドナルド・トランプ政権が、米中の「ハイテクのカーテン」を決定づけるような発表を2つ行った。米中貿易戦争に関して、「奥の手」とも言える決定打を繰り出し、ルビコン河を渡ったのだ。

思えば、いまから73年前の1946年3月、ハリー・トルーマン大統領が、第2次世界大戦後の世界の復興についてアドバイスがほしいと、前年7月に退任していたウィンストン・チャーチル前英首相をアメリカに招いた。その際、チャーチル前首相は、ウエストミンスター大学で行った演説で、こう述べた。

「バルト海のステティンからアドリア海のトリエステまで、大陸を横切る『アイアン・カーテン』(鉄のカーテン)が降ろされた。いまやその線の向こうに、中欧と東欧の伝統ある首都は、すべて横たわっている」

この演説によって世界の人々は、「鉄のカーテン」が敷かれた米ソの冷戦が始まったことを思い知った。冷戦はその後、1991年にソ連が崩壊するまで、半世紀近くも続いた。

今回の「ハイテクのカーテン」は、前世紀の「鉄のカーテン」に似て、「米中新冷戦」のアメリカからの「宣戦布告」に他ならない。後世の歴史には、日本が「令和改元」に沸いた2019年5月は、「米中新冷戦を告げる『ハイテクのカーテン』が敷かれた月」と記されるのではなかろうか。

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この日のトランプ政権の一つ目の発表は、ホワイトハウスが行った以下の声明である。原文は、ホワイトハウスのホームページの下記サイトで見られる。

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/statement-press-secretary-56/

〈 本日、ドナルド・トランプ大統領が、「情報と通信技術とサービスのサプライチェーンの保護」と題する大統領令にサインした。これは、わが国の情報と通信技術とサービスを保護するというトランプ大統領の公約の一環である。

トランプ大統領は、自己の政権がアメリカの安全と繁栄を維持するために必要なことを行い、アメリカの情報、通信技術インフラ、サービスの脆弱性を造り出し悪用している外国の敵から、アメリカを保護することを示した。

この大統領令は、アメリカの情報、通信技術、サービスに対する脅威への国家緊急事態を宣言するものである。そして、アメリカの国家の安全保障、もしくは安全保障とアメリカ国民の安全に対する容認できないリスクをもたらす取引を禁止する権限を、商務長官に委任するものである 〉

 

抽象的な表現が多いが、「5G時代の世界」を牽引しようとしている、世界最大の通信機器メーカー、ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)の台頭を、「国家緊急事態」と捉えている。そしてその対策を、商務長官が取るというのだ。

その具体策が、アメリカ商務省が同日に行った、もう一つの発表である。以下が、その全文である。原文は、下記のアドレスで見られる。

https://www.commerce.gov/news/press-releases/2019/05/department-commerce-announces-addition-huawei-technologies-co-ltd

〈 アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は本日、ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)とその関連会社を、エンティティ・リスト(Entity List)に追加することを発表した。この措置は、ファーウェイがアメリカの国家安全保障上の、もしくは外交政策上の利益に反する活動に従事していると結論づける合理的な根拠がもたらされる、商務省の入手可能な情報に基づくものだ。

この情報には、以下のものが含まれている。司法省が申し立てたファーウェイの起訴案件、IEEPA(国際緊急経済権限法)が申し立てた違反案件、イランに禁止された金融サービスを提供していたことによるIEEPA違反の疑い、アメリカの制裁に違反していると申し立てられた調査に関する司法妨害。

アメリカの技術をエンティティ・リスト上の企業もしくは個人に販売・譲渡するには、BISによる認可が必要である。また、その販売もしくは譲渡が、アメリカの国家安全保障や外交政策の利益と合わない場合は、却下されることがある。このリストは、連邦登記簿に公開された時点から有効となる。

ウィルバー・ロス商務長官は、このように言った。

「商務省BISによる今回の措置は、アメリカ大統領のサポートを得て、世界最大の通信設備製造企業である中国籍のファーウェイを、リストに入れるものだ。これによって、アメリカの技術が、外資系企業によってアメリカの国家安全保障、もしくは外交政策の利益に反する可能性がある形で損なわれるのを防ぐ。

トランプ大統領は商務省に、国家の安全保障活動の保護に警戒するよう指示した。トランプ政権になってから、商務省は190の個人及び組織をエンティティ・リストに加えた。同様に、1962年の貿易法232条のもとで、輸入品が国家の安全保障に与える影響について、5つの調査を行った」

エンティティ・リストへの追加は、商務省、国防総省、国務省、エネルギー省の当局者からなる消費者評議委員会によって決定される。輸出管理規制のセクション744の11(b)のもとで、該当個人・組織が、現在または過去に関与していたか、もしくはアメリカの国家安全保障、外交政策の利益に反する活動に関与する重大な危険をもたらすか、もしくはそのような個人・組織のために活動すると信じるに足る合理的な事由がある場合、エンティティ・リストに加えられる。

BISの使命は、効果的な輸出管理と条約の順守システムを確保し、継続してアメリカの戦略的な技術のリーダーシップを促進することによって、アメリカの国家安全保障及び外交政策の目標を推進することにある。BISは、アメリカのオリジナル産品が、大量破壊兵器(WMD)の計画やテロリズムをサポートしたり、軍事の現代化計画を不安定化することの防止に関わっている。さらなる情報は、以下を参照のこと。www.bis.doc.gov 〉

以上である。実際、翌16日に、ファーウェイは「エンティティ・リスト」に入った。