あなたの知らない深海の世界──海底のさらに下にも地下生命圏が!

深海研究が拓く、生命、地球、そして…
藤倉 克則 プロフィール

深海で起きた巨大地震

プレートテクトニクスは、地球システムの基盤を支える仕組みです。新しくプレートが作られる場所、そして古くなったプレートが地球内部に沈み込む場所は深海です。プレートが沈み込む場所で巨大地震が起こります。

つまり、「深海」は、生物だけではなく、地球システム全体、そして巨大地震を理解する上で欠かせない場所なのです。

2011年3月11日東北地方太平洋沖地震も深海で起きました。この巨大地震で何が起こったのか、なぜ大きな津波が生じたのかについても、私たちは地球深部探査船「ちきゅう」などを使って答えを導き出しています。

【写真】地球深部探査船「ちきゅう」
  東北地方太平洋沖地震後の調査に活躍した地球深部探査船「ちきゅう」 ©JAMSTEC/IODP

日本は、陸地は狭いですが広い海を抱えています。日本の陸地にはエネルギーや鉱物資源は乏しいですが、深海にはレアアース、熱水鉱床、メタンハイドレートといった資源が大量にあることがわかってきました。これらの資源は、人類の繁栄には必要でしょう。これらの資源がどのように形成されるのかについても、研究が進んでいます。

  300℃を超える熱水を噴き出す熱水噴出孔。このような場所に鉱物資源を含む鉱床ができる©JAMSTEC

もちろん、魚介類をはじめ生物資源も深海にはあります。ただし、深海の資源を環境フレンドリーに開発するにはどうすればよいかを考えなくてはなりません。

そのための1つの方策として、深海に海洋保護区を設定しようとする動きがあります。どこを海洋保護区にすればよいのかを決めるために、深海生物の多様性や生態系の情報を集めることが焦眉の急となっています。

さらに、地球温暖化にともなう海洋酸性化、プラスチックによる深海への汚染も、ひたひたと迫りつつあります。

【写真】日本海の水深908mにあるビニールシート
  日本海の水深908mにあるビニールシート。イソギンチャク、オオグチボヤなどが付着している ©JAMSTEC

人目にふれることのない深海には、重要なサイエンス、人類の持続的繁栄、そして背中合わせにある環境問題、さまざまな課題があるのです。『深海──極限の世界 生命と地球の謎に迫る』では、深海の調査を続けてた海洋研究開発機構(JAMSTEC)による、臨場感あふれた研究を解説しています。ご一読ください!

深海──極限の世界
生命と地球の謎に迫る

藤倉 克則・木村 純一 編著
海洋研究開発機構 協力

地球の表面積の7割を占める海。その中でも海洋のほとんどが深海です。深海を研究しなければわからない、生物や地球のしくみ、地震との関連や人類との関わり……。極限ともいえる過酷な環境で、困難も多い深海の調査を続けてた海洋研究開発機構(JAMSTEC)による、臨場感あふれた研究を解説! Amazonはこちら

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