あなたの知らない深海の世界──海底のさらに下にも地下生命圏が!

深海研究が拓く、生命、地球、そして…
藤倉 克則 プロフィール

深海調査技術の進化

「視程10m、底質泥、流向流速北から0.2ノット、各部異常なし、これより目標点に向かって航走を開始する」

潜水調査船「しんかい6500」で深海に潜航し、海底に着底すると、パイロットから母船「よこすか」に向かって、こう発信されます。それから4~5時間、深海底の潜航調査が始まります。

もちろん、深海を調査する方法は、潜水調査船だけではありません。深海調査は、ロボット・音・ワイヤー・ネット・採水器・スーパーコンピュータなどさまざまな方法を駆使して行われています。掘削船は、深海底のさらに数km下まで海底を掘ることができます。

【写真】深海を調査する潜水調査船「しんかい6500」
  深海を調査する潜水調査船「しんかい6500」 ©JAMSTEC

このような調査方法の発展とともに、深海の本当の姿が暴かれています。

たとえば、チョウチンアンコウやダイオウイカといった深海生物のスターがいますが、以前はイラストや標本写真でしか目にすることはできませんでした。いまは深海で生きた姿が見えるようになりました。

貴重な深海生物が見られる、海洋開発研究機構〈JAMSTEC〉の「 深海映像・画像アーカイブス」はこちら:http://www.godac.jamstec.go.jp/jedi/shot_search_main.jsf?LANG=JP

【写真】泳ぐチョウチンアンコウ
  伊豆大島沖の水深約1100mで泳ぐチョウチンアンコウの一種 ©JAMSTEC

深海研究から地球外生命もわかる⁉

生物学のなかでも、生命起源、地球外生命、進化、生態系、生物多様性などは、生物共通のサイエンスです。そして、これらは社会的にも重要な課題を含んでいます。

深海生物のサイエンスというと、深海に限定したユニークな生物の生きる仕組みを知りたい、と思いがちです。実際、深海ならではの驚きの発見を次々にもたらしています。たとえば、深海生物の考え抜かれた発光の利用など……。

一方、生物共通のサイエンスや課題についても、いまや深海生物の研究が不可欠です。たとえば、深海の熱水噴出孔にいる微生物や環境から生命起源や地球外生命に迫る、深海生物の共生から進化の仕組みに迫る、化学物質をエネルギー源にする生態系に迫る、深海の生物多様性にも危機が迫りつつあることなどがあります。

さらには、海底下の2500m下の地層にまで生物がいるという発見から、地球には驚くべき広大な「地下生命圏」が作られているという、これまでの常識では捉えられない新たな地球の生命の姿も描かれはじめています。

【写真】熱水を噴き出す熱水噴出孔と生物群集
  数百℃の熱水を噴き出す熱水噴出孔と生物群集 ©JAMSTEC
【写真】
  海底のさらの深い地層にいる微生物細胞。DNAと結合して蛍光を発する試薬で染色することで緑色に見える ©JAMSTEC

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