フランスの父親が育児に積極的なワケ〜男を「父にする」工夫の数々

かの国の「お父さん教育」に学ぶ
髙崎 順子 プロフィール

日本の男性は、どうやって父親になるのか

前述のようなフランスの状況を知ると、一つの思いが浮かぶ。日本の父親たちは、どうやって「父親」になるのだろう。私の知る限り、日本の家族支援制度に、フランスほど具体的な「男を父親にする工夫」はない。

日本でも、国は男性の育休取得を推進し、取得率は年々向上している。積水ハウスや三菱UFJ銀行など、男性社員の育休を義務化する企業も増えているが、それは「時間」面のみの支援だ。その時間で育児をするための「手段」を学ぶ機会や場所を、父親のために設定している例は、どれだけあるか。

「育児は母親のもの」という旧態然の価値観とシステムを維持しながら、父親を家に帰し、あとは勝手に育児を覚えてね……と、放置してはいないだろうか。私にはそれが、冒頭で挙げたような母親・父親たちの声に現れているように思えてしまう。

そんな推論を裏付ける材料の一つに、ベネッセ教育総合研究所の「乳幼児の父親についての調査」がある。同研究所が2005年・2009年・2014年と定点観測的に行ってきた実態調査では、「家事や育児に今以上に関わりたい」と答えた父親が10年間で10ポイントも増加した。

その一方、子育てに対する父親の肯定的な感情(自分の子育てはうまく行っている、など)は減少傾向にあり、否定的な感情(子どもとの接し方に自信が持てない)が増加している。育児する父親の数は増えているのに、それに自信がないと表明する人もまた、増えてしまっているのだ。

女性が結婚後・出産後も働き続け、共働き世帯が多数派になった今、育児と仕事の両立支援が国家の重要課題になっているのは、日本もフランスと変わらない。そこで父親の役割の重要性が上がっていることも同じだ。

 

しかし、親になることは、難しい。子どもが生まれただけで、誰もが自動的に育児ができるようになるわけではない。その当たり前の事実を正面から見つめて、考える時が来ているのではないだろうか。男性たちが「父親」になるためには、何が必要か? 育休という時間を与えるだけでいいのか? 

そのヒントがフランスの親支援策に見つけられるように、筆者は思う。

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