photo by iStock

フランスの父親が育児に積極的なワケ〜男を「父にする」工夫の数々

かの国の「お父さん教育」に学ぶ

ここ数年で男女平等を力強く推進し、短期間のうちに「グローバルジェンダーギャップ」のランキングを駆け上がったフランス。本連載「フランスに探る男女連携社会の作り方」は男女の〈連携〉の在り方を同国に学ぶ。

今回は、フランスの政府や企業が「男を父親にする」ために実践している様々な工夫をご紹介しよう。フランスの男性は子の誕生直後に、2週間の「父親休暇」を取得したり、助産師の「父親教育」を受けたりすることで、育児を「自分ごと」として捉え、積極的に育児に関わっていく。育休義務化が議論されている日本もここから学べることは多いはずだ。

(これまでの連載記事はこちらから)

〔PHOTO〕iStock

夫に「やってもらう」?

筆者はフランス人サラリーマンの夫と共働きで、小学生二人を育てている。育児の実務はほぼ五分五分の割合で、夫は朝食・身支度・学校までの送り・宿題チェック、私は通院関係・衣類の管理・夕方の迎え・夕食の準備と分担している。

仕事時間や得手不得手による分け方だが、基本的にはすべてのタスクを私も夫もこなす二馬力体制だ。それを子どもたちも分かっているので、父母どちらかが不在にしても、不便や心配はない。私も夫も実家が遠く、毎日は決して楽ではないが、二人三脚でやっているという実感がある。

そんな我が家の状況を日本の友人知人と話していると、頻繁にこんなことを言われる。

「夫にここまで『やってもらう』の、大変でしょう?」

発言の主が母親の場合は、この後はこう続く。「うちの夫はまずやろうとしない」「いざやってくれると思ったら、やり方がまずい。それを注意したら拗ねられる」「だから私が自分でやった方が早い」と。

そして父親たちからは、それに呼応する言葉を多く聞かされてきた。「実際、俺にはできない。泣かれるし」「やろうとすると、かえって邪魔になる」「結局育児は、母親の方が向いてるんですよ」

 

もちろん、こうした夫婦の関係性は、日本のすべての家庭に当てはまるものではない。が、上記のような会話の流れになることはやはり多い。そしてそんな会話の度に私は、複雑な気持ちになる。

私は、夫に育児の仕方を教えたことはない。育児を任せるのに心配を感じることも、やってもらう面倒を覚えることも、「私がやったほうが早い」と思ったこともない。夫から「できない」と言われたことも、夫の行動を邪魔に感じたこともなく、子どもたちはパパにべったりだ。

〔PHOTO〕iStock

育児分担に関しては夫と喧嘩もしたし、何度も話し合いを重ねてきた。しかし基本的なあり方として、「父親は育児ができない、母親の方が向いている」→だから「母親が導いて父親に育児をやらせる」という図式は、一度もなかった。

とはいえ夫は子の誕生前、育児に特段の関心があったわけではない。専業主婦の母親に育てられ、私の妊娠中も育児本ひとつ読むことはなかった。育休は取得しておらず、1歳で保育園通いが始まるまで、日中子どもを見ていたのは私である(帰宅後と週末は夫が見る分担だった)。

それでも夫は、私と五分五分で育児をする父親になった。振り返るとそこには二つの要因があったように思う。まず彼自身がフランス社会の仕組みの中、自然な流れで「父親は育児をするもの」と理解したこと。もう一つは、育児のスキルを妻である私からではなく、自分自身で学べる「機会」と「時間」があったことだ。

この二つの要因は、偶然や幸運の賜物ではない。「育児する父親」を増やすための国策として、フランス政府が意識的に与えているものなのである。