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マルク・カルプレスの告白「マウントゴックス事件の真相を語ろう」

ビットコイン消失の裏で起きていたこと
希望と欲望が混在する仮想通貨業界。マルク・カルプレス氏は、その始まりとされるビットコインの可能性にいち早く気づき、若くして世界最大の仮想通貨取引所・マウントゴックスの運営を開始。しかし、その後、仮想通貨業界を揺るがす大事件の当事者となる――。今回、カルプレス氏は初めての著作『仮想通貨3.0』を上梓、第一人者だからこそ伝えられる仮想通貨のリアルと限界を明かしている。そんなカルプレス氏が、2014年に巻き込まれたあのハッキング事件の真相を語った。
 

突然の逮捕

フランス人である私が日本に来たのは2009年6月、24歳になったばかりの時でした。そこから現在まで、私の人生はビットコインとともにあったと言っても過言ではありません。まだビットコインが一部の技術者の間のおもちゃだった時期から知っている身としては、その後の爆発的な値上がりと大暴落の経験は、まるでジェットコースターに乗っているような気分でした。

個人的に、今でも忘れられないのが2015年8月1日です。

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その日は、早朝5時に私の携帯へ一本の電話がかかってきました。電話の主は警察。「これから自宅に伺います」という連絡でした。警察が到着すると、私には荷物を準備する時間が与えられました。

ほどなくして、一瞬金属の冷たさを感じたかと思うと、私の手首は自由が利かなくなりました。逮捕の瞬間です。

どうしてこのような結果になってしまったのか全くわかりませんでした。私は何もやっていない――。浮かんでくる言葉はそれだけでした。

警察に促されるままに外に出ると、待ち構えていたのは100人近い報道陣。ものすごい形相で何かを質問してくる記者たちを避けながら、私は自宅前の細い路地を進み、警察の車両に乗り込んだのです。