米中貿易戦争激化のなか、FRBは利下げ要請にどう反応するのか

世界経済にとって無視できない問題

5月9日、10日、米国と中国は通商問題に関する閣僚級の協議を開催した。当初は、中国が米国に譲歩し妥結が近いと思われていた。しかし、協議の直前になり、中国のトップである習近平国家主席が譲歩を渋り、米中の閣僚は通商問題に関して合意できなかった。今後の協議日程も決まっていない。米中の溝がかなり深いことが明らかになった。

10日の制裁関税引き上げ(2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10%から25%へ)に続き、13日に米国は第4弾の制裁関税も発表した。習国家主席は自らの体裁を保つために、米国に報復せざるを得ないだろう。米中の摩擦激化は、世界経済の先行き不安を高める。

それに伴い、トランプ大統領はFRBに対し利下げ要請を一段と強める可能性が高まった。米国の金利引き下げが現実味を帯びてくると、為替市場でドル安円高傾向が鮮明化することが考えられる。

 

一段と激化する米中の貿易摩擦

5月9日、10日の閣僚級協議にて米中は合意できなかった。理由は、中国の習国家主席が補助金政策を手放せないからだ。当初、中国は米国の求めに応じ、中央政府と地方政府の補助金政策を見直すと譲歩を示した。改革を重視する劉鶴副首相がその案を取りまとめた。しかし、中国共産党の保守派にとって補助金は既得権益の維持に欠かせない。

党内では米国への譲歩に強烈な批判が巻き起こり、習国家主席としても権力の維持のために強硬姿勢をとらざるを得なくなった。中国は地方政府の補助金政策の修正を渋り、米国はそれに怒った。米国は自国の消費者に負担を強いる第4弾の制裁関税の準備も進めている。更にトランプ政権は中国の華為技術(ファーウェイ)に制裁を科した。

米国と中国の対立はより激化している。2020年の大統領選挙での再選を狙うトランプ氏は、早期に中国との交渉をまとめたい。摩擦が激化し第4弾の制裁関税が本当に発動されると、米国の個人消費は大きく落ち込むだろう。世界各国の企業もサプライチェーンの再編などを余儀なくされ、グローバルに景況感が悪化しかねない。

一方、中国は交渉を長期戦に持ち込み、米国の強硬姿勢が落ち着くのを待ちたい。その時点で、米中の足並みは大きく乱れている。中国の習国家主席は対米交渉に関する全責任を持つ覚悟を固めたといわれている。次回の閣僚級協議の日程すら決まっていない中、トランプと習のトップ同士が直接交渉をすると期待することは早計だ。

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