来日トランプに安倍首相がどうしても「護衛艦かが」を見せたい理由

涙ぐましい「対米追従」アピールのため…
半田 滋 プロフィール

「自立の努力」をアピールしたい

視察先が「いずも」でなく「かが」なのは、現在「いずも」は「平成31年度インド太平洋方面派遣訓練部隊」として護衛艦「むらさめ」とともにインド太平洋に派遣されており、日本を不在にしているためだ。

「かが」は広島県の呉基地に配備されており、横須賀基地まで回航してトランプ氏の乗艦を待つことになる。28日が予定されている。

安倍首相がトランプ氏を「かが」に招待する目的は2つあるとみられる。

ひとつは、前述した通り、「強固な日米同盟」を誇示することである。「かが」は「いずも」と同様、4月から適用された新「防衛計画の大綱」で空母化が決まっている。

空母は打撃力そのものであり、先制攻撃を可能にする強力な武器だ。大綱は「日米同盟の一層の強化には、わが国が自らの防衛力を主体的・自主的に強化していくことが不可欠」と記しており、その防衛力強化のシンボルが空母なのだ。

 

「いずも」「かが」の空母化により、「日本は米国の軍事力に頼っているだけではない。自立の努力をしている」というところをトランプ氏にアピールできると考えているのではないだろうか。

改造され、空母になる「いずも」「かが」を「マラバール」に参加させれば、日米印3ヵ国の空母が出揃うことになる。また、恒例化しつつある「インド太平洋方面派遣訓練部隊」に参加させれば、中国に軍事的圧力をかけ続けることにもなる。

「いずも」「かが」の空母化ほど、米国の対中戦略に貢献するツールはないのだ。これらの艦艇を安倍首相が「トランプ氏に見せない手はない」と考えたとしても不思議ではない。

護衛艦「かが」(Photo by gettyimages)

2つ目の狙いは、護衛艦の空母化には搭載する戦闘機が不可欠となる。政府は米国製のF35戦闘機を105機追加購入することを決め、そのうちの42機を空母に搭載できるF35Bとすることも決めている。

F35の追加購入は、2017年のトランプ氏の初来日時、安倍首相が口約束した内容を実行したものだ。

このとき、日米首脳会談後の共同記者会見で、トランプ氏は「非常に重要なのは、日本が膨大な武器を追加で買うことだ。完全なステルス機能を持つF35戦闘機も、多様なミサイルもある」と具体的品目を挙げて購入を迫った。

これに対し、安倍首相は「日本は防衛力を質的に、量的に拡充しなければならない。米国からさらに購入していくことになる」とあうんの呼吸で応じ、トランプ氏が列挙したF35や新型迎撃ミサイルのSM3ブロック2Aなどを購入することを挙げた。

米国から輸入することになるF35の購入費は安く見積もっても総額1兆2000億円。米国の対日貿易赤字を削減する有力材料がF35なのだ。

そのF35が載ることになる「かが」を視察するトランプ氏に「米国からの武器の大量購入」を日本側が説明しないはずがない。

メイ首相を防衛相が案内したのとは異なり、今回はトランプ氏を安倍首相が案内するのではないだろうか。

そうなれば、「いずも」「かが」の空母化により、(1)軍事力強化による自主防衛の努力、(2)インド太平洋における日本の影響力強化、(3)米国の対中戦略への貢献、(4)米国製武器の大量購入による対米支援、をまとめてアピールできるのは間違いない。