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来日トランプに安倍首相がどうしても「護衛艦かが」を見せたい理由

涙ぐましい「対米追従」アピールのため…

一昨年の「捲土重来」

25日に二度目の来日をするトランプ米大統領。米国の大統領として初めて海上自衛隊の護衛艦を視察する方向で調整が進んでいる。

白羽の矢が立ったのは空母に改修される「いずも」の2番艦「かが」。視察を主導しているのは首相官邸だ。

なぜ、安倍晋三首相はトランプ氏に「かが」を見せたいのか。

来日時、自衛隊の艦艇を視察した外国の首脳は英国のテリーザ・メイ首相ただ一人である。2017年8月31日、横須賀基地で「いずも」を視察した。

案内した当時の小野寺五典防衛相は、旧日本海軍の巡洋艦「出雲」が明治時代に英国で建造されたことを紹介し、続けて「日露戦争はそのおかげで勝つことができた」と述べた。すると、メイ氏は「我が国と日本は長きにわたり協力してきた」と応え、日英の「準同盟」を確認した。

これまで、日本政府が来日した外国の首脳に自衛隊の視察を求めることはなかった。それが一転して積極的になったのは、安倍首相が提唱した「(自由で開かれた)インド太平洋構想」の道具として護衛艦が使われていることが大きい。

 

「インド太平洋構想」とは、インド洋と太平洋でつないだ地域全体の経済成長をめざし、自由貿易やインフラ投資を推進する構想のこと。だが、本丸は安全保障面での多国間協力にある。法の支配に基づく海洋の自由を訴え、 南シナ海で軍事拠点化づくりを進める中国を封じ込める狙いが込められている。

その第一歩として海上自衛隊は、米国とインドの2ヵ国による共同訓練「マラバール」に毎回参加することとし、「マラバール」は日米印の3ヵ国共同訓練に格上げされた。

3ヵ国共同訓練となって最初の「マラバール」は、2017年7月10日から8日間にわたり、インド南部チェンナイ沖で行われた。

中国の周近平国家主席が提唱した経済・外交圏構想「一帯一路」のうち、洋上の「一路」の途上にあるのがチェンナイ沖で、中国の潜水艦を想定した対潜水艦戦などが実施された。

メイ氏が視察したのは、この訓練に参加し、帰国して間もない「いずも」だったのである。

「いずも」を視察する英国のメイ首相(Photo by gettyimages)

「マラバール」には米海軍、インド海軍とも空母を参加させており、中国側が「脅威」と受けとめる空母打撃群を構成するには、空母タイプの護衛艦「いずも」の派遣が重要だった。

これにより、「日本防衛」にとどまっていた自衛隊が「インド太平洋」にまで進出し、対中包囲網の一角を担うことになった。「専守防衛」を踏み越えかねない危うい方向転換だが、自衛隊の積極活用は安倍首相が目指す「積極的平和主義」の具現化といえる。

その「成果」を誇示するために、わざわざメイ氏を「いずも」に招待したのである。

メイ首相は「いずも」視察の答礼として、2017年12月、訪英した小野寺氏を就役したばかりの英海軍の新鋭空母「クイーン・エリザベス」に招待した。

そして昨年8月には、英海軍の補給艦を南シナ海に派遣し、米国が駆逐艦などを南沙諸島、西沙諸島に派遣する「航行の自由作戦」に英国も参加することを表明した。

つまりメイ首相の「いずも」視察は、英国を「インド太平洋構想」に引きずり込んだ原点とも言えるのである。

実は安倍首相は、2017年11月にトランプ氏が初めて来日した際、「いずも」に招待し、「強固な日米同盟」を演出する腹積もりだった。しかし、トランプ氏の日程の都合が合わず、幻の計画に終わっている。

捲土重来が二度目の来日となる今回なのだ。