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縮小する業界で生き残る「ネット小説家」の超合理的生存戦略

これはビジネスマンにも効く
近年、小説投稿サイト「小説家になろう」などの登場で存在感を増しつつあるネット小説家だが、その「生存率」は決して高いとは言えない。しかし中には、独自の生存戦略によって生き残っている人々がいる。自身もネットでデビューした作家で医師の津田彷徨氏が解説する。

ネット発の作家が生き残る方法

3年生存率は2人に1人の50%
5年生存率は2.5人に1人の41%
10年生存率は4人に1人の26%

……これは何の数字かお分かりでしょうか?

これは1975年から2016年までにデビューしたライトノベル作家で、その後、継続してライトノベル作品を書き続けておられる方の数字です。

(注 『ラノベの杜DB』よりケイロカミオカ氏が要素抽出し、脳外科医で作家の遠野九重氏がカプランマイヤー法にて生存率曲線を作成)
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年間100〜200人がデビューするライトノベル業界。ライトノベルの作家は他ジャンルの作家よりも比較的生存率が高いと言われていますが、それでもデビュー後3年で2人に1人は新刊を書いていない状況になっているのが現状です。

もちろんペンネームを変えておられたり、ライトノベル以外の書き手としてシナリオライターや他ジャンルの作家となられている方も多くいますので、これをもって異常に低い数字とは言うことはできません。

ですが一般的な観点から考えますと、日本国内の新卒の離職率が3年で3〜4割という現状を見るに、専業の作家として生きていくことは非常に厳しいものであることがわかります。

実際のところ、出版業界は1996年の2兆6000億円の売り上げをピークに現在は右肩下がりを続けており、既に書籍と雑誌の推定販売金額は1兆2800億円台と最盛期の半分近くにまで減少してきています。そしてその影響は当然ながら作家にも重くのしかかってきているのです。

つまり端的に言えば、作家だけではなかなか食えなくなりつつあります。以下では、そんな時代にネット発の作家として生き残る方法を、具体的な実例をもとに考えます。パトロン形式での収入の確保自分のレーベルの立ち上げ「テーラーメード文芸」による新たな作品作りなど、複数の方法を模索することが必要になってくることがわかるはずです。

 

「専業」でやっていけるのか

さて、作家の厳しい実情について話を続けましょう。これは私も言われたのですが、処女作の出版を前に編集者から最もよく言われることは「仕事や学校を辞めないでください」というお願いだとされます。このことからも、そのあたりは推して知るべしというべきかもしれません。