スピード感と密度がケタ違い「ネット時代のドラマ」の新しい傾向

若者は「情報量の濃さ」を求める
石川 香苗子 プロフィール

ドラマ視聴の新たなプラットフォーム

せっかく若年層が満足できるIPTの濃いドラマを制作できるのなら、ターゲットとなる視聴者のいるプラットフォームで届けることが重要になってきます。

日本テレビのドラマはすでにHuluでも配信されていますが、Huluは有料な上、コンテンツにたどりつくまでのステップが多いのがネックです。いまやTikTokなどスマホアプリには高性能なAIが搭載され、ワンタップでアプリを立ち上げるだけで個人に最適化された動画ががんがんレコメンドされます。この超快適なユーザーエクスペリエンスに慣れきった若年層にとっては、コンテンツにたどり着くまでのステップが長ければ長いほど煩わしさを感じるでしょう。

アメリカでは、有料ではあれど、テレビの番組をYouTubeで同時&オンデマンド視聴できる「YouTube TV」というサービスが提供されています。諸問題が絡んで実現は難しいと思いますが、日本でも最大の動画視聴プラットフォームであるYouTubeで同時配信するくらいのドラスティックな変革が、今後求められていくことになると思います。

 

また近年、動画視聴のプラットフォームとして若年層の中でそのシェアを大きく伸ばしているのがInstagram(Marketing Research Campの「動画&動画広告月次定点調査 2018年総集編」より)。先日、そのIntagramとドラマの注目すべきコラボがありました。4月スタートのドラマ『向かいのバズる家族』の第3話放送中に、Instagramとの連動生配信が行われたのです。

番組公式HPより

同ドラマでは、女優の内田理央がカフェの美人店長としてSNSで「バズってしまう女性」を演じています。彼女は放送前に自身のInstagramアカウントを主人公と同じ「akaring」に突如変更、放送中に主人公が生配信を始めると、内田自身も同じ衣装でインスタライブの生配信を始めたのです。すると深夜にもかかわらず、7000人もの視聴者が殺到。大きな話題となりました。ちなみに、このドラマも日本テレビ系です。

これまで数十年にわたって培ってきた良質な物語を紡ぐテレビドラマの制作ノウハウに、動画時代のスピード感と情報の密度をうまく取り入れ、若年層が観るプラットフォームで放映し、視聴者とのエンゲージメントをより濃く形成する仕掛けを施す。こうした試みが、今後も日本のドラマで増えていくことを期待したいものです。

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