2019.05.20

ついに"新しい1キログラムの時代"が幕をあけた!

「物理法則」による新定義とは? 前編
山根 一眞 プロフィール

今回採択された新定義とは、どういうものか?

では、その新定義とは……。

国際度量衡委員会によるキログラムの新定義

2019.05.20

プランク定数の値を正確に

6.62607015×10-34 ジュール・秒

と定めることによって設定される。

国際度量衡委員会によるキログラムの新定義 作図:山根一眞

このキログラムの新定義、一見して「理解できた!」という一般の人はほぼ皆無だろう。「1メートルとは真空中を一定の時間に光が進む距離」という定義と比べ、雲泥の差どころではない難解さだ。

このプランク定数の値を求める挑戦を続けてきた専門家たちの苦労と努力は想像を絶するもので、核燃料施設でのシリコン同位体の濃縮、人類が手にしたことがないほど丸いシリコン球の研磨、そしてその球の原子数を数えるといった信じがたい仕事が30年も続けられてきたのだ。

【写真】物理定義を決定するために使われたシリコン球
  キログラムの物理定義を決定するために使われたシリコン球 写真:山根一眞

今日、2019年5月20日の「キログラム」の新定義の運用開始は、産総研のチームを初めその実現を目指してきた各国の研究者たちにとっては、重力波の観測成功に匹敵するほどの凱歌なのである。

それにしてもこのシリコン球、「キログラム原器」に代わる「新キログラム原器」に思えてしまうが、まったく違うのである。

次回は、この難解で気絶するようなキログラム新定義を手にするまでの30年の歩みを紹介する。

〈中編に続く〉

キログラムの新定義のために使われた「シリコン球」(オリジナルは約1億円)のレプリカと「キログラム原器」のレプリカは、以下で見ることができます。

福井県年縞博物館(特別館長・山根一眞)でも産総研の協力で「シリコン球」(レプリカ)を期間限定(5月20日〜7月29日)で特別展示。常設展示にはキログラム原器(レプリカ)もあります。

 

新しい1キログラムの測り方
科学が進めば単位が変わる

臼田孝

絶対に変わらず、誰にとっても納得できる「重さ」の基準とはなにか? 最先端の科学がその難題に挑みます。

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