米中貿易戦争が起こす「ヤバい円高」と「日本株暴落」の危機シナリオ

超・円高局面の到来へ
大川 智宏 プロフィール

際限なき円高

関税はケンカの最初のきっかけで、この先は両国それぞれが自国の内側から金融政策をひたすら緩和方向へと拡大して自国通貨安を促進させるか、飛び道具を使って相手国の通貨高を助長させるかにより、以下に相手国の経済を疲弊させるかの応酬になる。この流れを、今後の予想アクションも含めてざっくりと表せば、以下の図のようになるだろうか。

図:米中貿易・通貨戦争の流れ

拡大画像表示出所:智剣・Oskarグループ

ここまでは、あくまで一般論だ。しかし、である。冒頭の話に戻れば、この米中両国間で世界が揺れている間、特に先進国において盛大に株価の下落を見せたのは、我らが日本株である。

中国や米国とは経済的に近しい立場にあるとはいえ、なぜ震源地である彼らよりも日本株が強く売られなくてはならないのか。これについて少し考えてみると、恐ろしい結末が織り込まれている可能性が浮かび上がる。米中両国が今後もお互いを生かさず殺さずで通貨戦争を続け、そしてその結果として最終的に何らかの決着を見た後の焼け野原に横たわっているのは、超・円高化した日本である。

順を追って考えたい。

 

まず、今後起こりうるアクションとして、中国の預金準備率の引き下げと中国政府の人民元安の容認は、当然ながら対円で見れば「円高元安」であり、円高の要因となる。しかし、対ドルで見れば「ドル高元安」になるため、ドル円の観点で見ればこの時点ではそこまで円高は進行しない。しかし、それを受けて次に米国が利下げに踏み切った場合、今度は直接的に「円高ドル安」を引き起こす。これは当然である。そして、さらにその後に中国が量的緩和を実施すれば人民元側からの円高要因に、仮に米国債を売却しようものならそれに米国が緩和で応戦してドル安からの円高要因に……といった具合に、両国が緩和政策合戦を繰り広げ続けるかぎり、際限なく円高が進行していくことになる。

そして、問題は、その応酬の間に、日本はそれらを中和させる手段を何も持たないことだ。

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