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米中貿易戦争が起こす「ヤバい円高」と「日本株暴落」の危機シナリオ

超・円高局面の到来へ

深刻な状況

一向に収まる気配のない久々の「Sell in May」であるが、何やら様子がおかしい。

 

そもそもの話、今回の世界的な下落相場は米中貿易摩擦によって発生したものであることは今さら言うにも及ばない事実である。日本はこの件に関しては、少なくとも自動車関税が半年間猶予された現段階でいわば傍観者であるはずだ。しかし、毎度お決まりではあるが、貿易摩擦が再燃した5月入り以降、日・米・中で最も強く下落しているのは日本株である。

図:5月の日米中の株価パフォーマンス

拡大画像表示出所:Datastream

これについては、日本株に対する需給的な側面が大きいと思われる。中国株の代理ショート、海外マクロとの連動性の高さを嫌う海外勢の売りといった背景が根底にあり、ある意味では自然な動きなのかもしれない。ただ、こういった物理的な側面よりも、もっと大局的かつ本質的なところで、日本は非常に深刻な状況に陥りつつあるように思われる。それが、これから想定される本格的な米中の「通貨戦争」と、その結果としての超・円高局面の到来だ。すでに、現状も世界中を見渡すとガチガチの円高包囲網、いわば日本円の「四面楚歌」状態にあると思われるのだ。

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さて、今回の貿易摩擦の話と絡めて、現在のドル円を取り巻く状況の「一般論」を整理しておきたい。まず中国の金融環境は、言わずと知れた国家統制市場である。無論、建前上は固定相場制ではなく通貨バスケットの変動制ではあるが、今でも中国政府が積極的に関与することで自国の株価も為替もほぼコントロールが可能だ。それでいて、足元は急激な人民元安が進行しており、輸出企業を下支えする意図として政府は今回の通貨安を容認していると見ていい。

ただ、今回の人民元安の進行で注目点となるのは、足元の異様な中国株の上昇だ。