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悠仁さまの机に刃物を置いた男を逮捕した「専門部隊」その実力

4月29日までになんとしても捕まえろ

改元直前、皇族を標的にした前代未聞の事件が発生した。すぐさま集められたのは警視庁捜査一課や、専門部隊『SSBC』の凄腕捜査員たち。彼らは「正体不明の男」をいかに追い詰めたのか。発売中の『週刊現代』が特集する。

精鋭によるリレー方式

神奈川県のJR平塚駅から徒歩4分ほどの場所にある「東横イン湘南平塚駅北口1」。4月29日の午後9時すぎ、大型連休の真っ只中で、オフィスビルが立ち並ぶ平塚駅前は人影がまばらだった。

しかし、この東横インの周囲にだけは、黒塗りの車が数台停まり、大柄な男たちが20人近くたむろしていた。

9時15分すぎ、一人の男が正面玄関からホテルに入ってきた。小柄で、髪は丸刈り。メガネを掛けた、黒色のジャンパーに黒色の長ズボン姿の男だ。フロントで鍵を受け取ろうとした瞬間、スーツ姿の二人の男が彼の両腕を摑んだ。

「長谷川薫で間違いないな。警視庁だ」

男が答える間もなく、5~6人の男たちが周囲を囲み、手錠を掛けた。抵抗するような素振りは見せなかった。

4月29日、警視庁は建造物侵入などの疑いで、職業不詳、長谷川薫容疑者(56歳)を逮捕した。

 

長谷川容疑者は4月26日に、東京・文京区のお茶の水女子大学附属中学の敷地内に侵入。秋篠宮悠仁さま(12歳)の机の上に、長さ60㎝のアルミの棒にくくりつけた2本の果物ナイフを置いたと見られている。

「26日の夕方頃、お茶の水大附属中の職員から大塚署に通報が入ると、大騒ぎになりました。仮に悠仁さまが現場に居合わせていたら最悪の事態が起きていた可能性もある。

悠仁さまの警護は、皇宮警察と警視庁の警備部警衛課が受け持っています。悠仁さまが学校にいる間は、授業には同席していませんが、校内で待機しています。

改元まで1週間を切ったタイミングで、警視庁は大失態を犯してしまったのです」(全国紙社会部記者)

改元直前に、皇位継承第3位(当時)という立場の皇族に実際に危害を加えられかねない状況を許してしまった以上、単に逮捕するだけでは済まなくなった。

警視庁は犯人の身柄を何としても平成のうちに確保しなくてはならなくなったのだ。

「4月30日に逮捕したとしても、改元当日の5月1日の新聞紙面に大きく載ってしまい祝賀ムードに水を差すことになってしまう。そのため、『4月29日』が犯人逮捕のデッドラインだったのです」(前出・記者)

タイムリミットまであと4日―。

警視庁の威信をかけて、すぐさま精鋭が動員された。捜査の主導は捜査一課が受け持ち、極左を担当する公安二課の公安刑事たち、そして専門部隊『捜査支援分析センター』、通称『SSBC』も加わった。

SSBCは今年2月に東陽町で起きた「アポ電強盗殺人事件」などで、犯人逮捕に大きく貢献し、注目を浴びた。

'09年4月に設置された警視庁刑事部の附置機関であり、現在は約120人の捜査員がいる。防犯カメラなどの画像収集、分析のスペシャリスト集団だ。

まず臨場した捜査員らは、附属中学の入り口にあるインターフォンカメラの映像を回収。そこには午前10時50分頃、「水道工事の者です」と告げて鍵を解錠させ、侵入する不審な男が映っていた。

中肉中背で、メガネを掛け、黄色のヘルメットに青色の上下の作業服姿、白いマスクに黒い手袋といういで立ちだった。

この日、該当する工事は入っていない。この男を最重要人物とし、防犯カメラの映像をつないでいくSSBCのお家芸「リレー方式」捜査で、行方を追った。