いま「くじ引き民主主義」がヨーロッパで流行中、その社会的背景

「民主主義疲れ症候群」への処方箋
吉田 徹 プロフィール

異なる民主主義を模索する

もし今ここにある民主主義で事足りないのであれば、異なる民主主義を実践すれば良い。民主主義である以上、地域や国といった共同体の運命を決める資格と権利を持つのは、その共同体の構成員の1人1人であるはずだ。その運命が一部の人間や組織に支配されて良いはずがない。

そのことに自覚的であるならば、くじ引き民主主義は、不可欠な手段のひとつとして浮かび上がるのだろう。さらに、そこには、市民のより直接的な参加を求めるリベラルの側も、市民のより責任ある行動を求める保守の側も納得できる論理が備わっているはずだ。

 

米調査会社のピューリサーチセンターの世界27ヵ国を対象にした最近の調査によると、平均して51%の人々が自国の民主主義は上手く機能していないと回答している。日本はこの回答の割合が56%に達しており、平均より高い。

民主主義に対する不満が蓄積しているばかりか、先の統一地方選挙では、過去最低の投票率(41道府県議選で44%)の中、道府県議会選挙の27%、町村議会選挙の23%が無投票で決せられるという、担い手不足と無関心もピークに達している。

こうした「民主主義の空洞化」への対処としてくじ引き民主主義の活用が模索されても良いのではないか。くじ引き民主主義は、もはや思考実験の域に留まらない。それは活用されるのを待つばかりなのだ。