どうしても施設を利用してほしいとき、認知症の人に効く一言

「あなたは特別」と伝えよう

自分が病気になったとき、要介護の、しかも認知症の家族がいたら、頼りになるのは「ショートステイ」と呼ばれる宿泊付きの介護サービスですが、さて、あなたは認知症の人をそこにうまく誘導することができるでしょうか。

よくある悩み「介護サービス拒否」「病院に行きたくない」

長らく介護業界で働いていると、家族からいろいろな悩み相談を受けます。ある日、こんな事案が持ち込まれました。

カンジさん(82歳)は認知症の妻ケイコさん(80歳)を献身的に看ています。いわゆる「老老介護」ですが、あるとき心臓の検査のため、カンジさんが入院することになりました。

「その間、何とかショートステイに妻を預けたいんですが……」

というカンジさん。

ショートステイとは、要介護の人を宿泊付きで預かってくれる介護サービスです。ところがケイコさんは認知症のため、外泊せねばならない事情が理解できません。不安がってショートステイに行きたがらないので、カンジさんは途方に暮れています。

こういう、「本人がサービスを拒否する」という相談は珍しくありません。この場合のショートステイは介護サービスですが、医療の面でもたとえば、

「父親がどうやら認知症みたいなんですけど、どうしても受診しないんです。『病院に行こう』と言うと、『俺はどこも悪くない!』『ボケてなんかいない!』と激怒するので、手を焼いています」

こんな相談をよく、家族から受けます。たとえば健康診断くらいなら「行きたくない」で済むかもしれません。でも、本人や家族の生活を支えるために、どうしても必要なサービスだってあります。

また、たとえば認知症は、根治できないとはいえ進行を遅らせる薬はあるわけですし、何より受診をきっかけに、使える医療や介護サービスの範囲を広げることができます。その意味で、早期の診断は大切なことです。

ところが、認知症の人はなかなか腰をあげてくれないもの。事情を説明しても理解力が落ちているため、ケイコさんのようにわかってくれない人もいます。どう働きかければ外出してくれるのでしょうか。

【まんが】タカヤマさんのおかげです1前編
【まんが】タカヤマさんのおかげです1後編
  「介護」を連想させないようなシチュエーションを作り、タカヤマさんの元教師としての"指導力"をキーワードに「引き算」したところがポイントです。引き算とはいえ、心を込めることが大切(『認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ』より一部再編集