「天皇陛下に呼ばれてる!」そんな妄想をピタッと解決した一言

認知症介護、その人に合わせた声かけで
右馬埜 節子 プロフィール

「引き算」は平和をつくる手段  

「でも、ウソなんかついていいの?」

そんな驚きの声が聞こえてきそうですが、冒頭で書いた通り、出来事を丸ごと忘れてしまうのが、認知症の記憶障害の特徴です。だから引き算をしても、認知症の人はやがて、その「引き算したこと」自体を忘れてしまうのです。

実際、私は介護の現場で日々、この言葉かけを使ってきましたが、問題が起こったことはありませんでした。

それでも「引き算」は平たく言えばウソ。実行するのに後ろめたさを感じる人もいれば、「よくないことだ」と言う人もいます。

誤解してほしくないのですが、私は「認知症の人にはウソしか通じない」とか「だまして適当にあしらえばいい」と言っているわけではありません。ひとつのコミュニケーション手段として覚えておいてほしいだけです。

認知症というのは不思議な病気で、正論が通用することもあります。でも私の経験では、本人に事実を伝えても何も解決しないケースのほうが圧倒的に多いのです。解決しないどころか、認知症の人と介護者が対立してしまうこともめずらしくありません。そんな状態で介護などできるでしょうか?

認知症介護では、「何となく平和」で、誰も傷つかない環境が整うのがいちばん。そう私は思っています。

そんな「何となく平和」な雰囲気をつくる声かけを、私は『認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ』という本で、詳しく説明しました。興味のある方は参考にしてみてください。

【マンガ】ウソも方便?
 
  「何となく平和」で、誰も傷つかない環境を整えることが大切(『認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ』より)
【書影】認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ

認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ

右馬埜 節子

本書では、ほんの少しの言葉かけで、そんな「ネガティブ気分」を晴らす方法を紹介。本人の毎日も、介護者の心も、パッと明るくなるケアの技術を教えます!ご紹介したように、マンガも多く、抱腹絶倒のうちに、明るい介護が学べます!

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