photo by Getty Images

日銀の「当分の間政策維持」長期化は逆にリスクを拡大させる

バブルはもはや警戒水域

チャンスはこうして失われた

日本銀行は、4月24~25日の金融政策決定会合で、金融政策正常化を決めることができなかった。筆者は、このサイトでも、これが当面最後のチャンスであると度々指摘してきた。

中央銀行の本来業務は物価のコントロールである。そして、先進国は消費者物価指数の目標を一律2%としている。欧州中央銀行(ECB:European Central Bank)に至っては、その欧州中央銀行法に物価目標と2%とすると明記した。

しかし、この物価(インフレ)コントロールが金融政策の主たる目的として定着した当時は、現在の先進国が、まだ今でいう新興国であって、経済成長率も高くインフレになり易かった。つまりインフレ抑制のためであり、現在と使い方が違う。

経済成長は中長期的には人口と資金と知識(イノベーション)の掛け算である。現在では先進国は人口増加率も下がり高度成長期も終わり、人間の一生に例えれば老齢期に入っている。すなわち、体温ともいうべきインフレ率はもう上がらない。ここからイノベーションがあったとしても、以前の様な高度成長期にはならない。

ところが現在、日本銀行の金融政策の考え方は次の通りである。インフレ率の目標、2%を堅持する。その達成のためのプロセスは、経済成長率が高まって、血液たる、おカネの巡りが良くなってインフレになる状況、すなわち経済成長をベースとおいている。

もはや「老齢期」の日本では、金融正常化(引締め)方向への政策変更は、景気に影響を与える可能性がある。そのため、たびたび指摘してきたことだが、政策の変更はタイミングが大事になる。要は、政治日程の影響を受けるということである。

 

今年の場合は選挙が2つ、4月に統一地方選と7月に参議院議員選挙がある。そのため、通常は新年度、4月1日から改正させる税制も半年送らせて10月スタートにしたのである。当然、金融政策正常化も、これらの日程を回避する必要がった。

ただし、天皇陛下の退位(4月末)と即位(5月1日)は景気浮揚効果のあるものとして考えてよかったし、実際、よい雰囲気に包まれた。

以前にも書いたが、金融政策の正常化はこの4月の金融政策決定会合しかなかったのである。

しかし、本日5月13日内閣府が発表した3月の景気動向指数からみた国内景気の基調判断は、6年2カ月ぶりに「悪化」となった。日本銀行は当然、政府と密な情報交換を行っており、景気悪化が先に見通せたので、「延期した」と考えるのが筋であろう。

ここまで来ると、もはや、消費増税の景気への影響を当然、見極めなければならなくなった。そのため、延期は「少なくとも2020年春ごろまで」となった。