カーリング日本代表のイケメンコーチが語った「本気の世界一奪取計画」

平昌五輪以降の大きな変化とは?
竹田 聡一郎 プロフィール

熱狂の日本、静観のカナダ。JDが感じたファンの違い

――日本のカーリングのレベルが上がり、これまで4年に一度のオリンピックイヤーだけブームだった盛り上がりが、今季も継続していました。あなたもそれを間近で実感したと思うのですが、その感想を聞かせてください。

「僕の母国カナダにはたくさんのカーリングファンがいます。しかし、そのほとんどがカーリングというスポーツのファンだと認識しています。

今回、驚いたのは、日本ではチームや選手それぞれにファンがついているケースも多いこと。それはカナダとは大きな違いで、感銘を受けました。

僕の地元のカルガリーにはたとえば、ケヴィン・クーイという世界一も経験している素晴らしいカーラーがいます。彼が家族と共にディナーに出かけても、一人か二人が『頑張ってね』と声をかけるくらい。

でも、日本のファンは、選手に会うと『写真いいですか?』『サインしてください』と熱狂してくれる。カーラーにとしてはすごく嬉しいことであると同時に、普通の毎日を過ごすことを考えると難しい場合もあるかもしれない。

色々な意見があるとは思うけれど、日本のファンのエネルギーはエキサイティングであることは間違いないとは思っています」

――選手の写真を撮ったり、イラスト描いたりして、SNSなどでアップするファンも大勢います。JDコーチのイラストも多く見かけます。ご覧になったことはありますか?

「イエス。似ていますし、いつも面白いなと思って見てます」

このユニホームを大会終了後、ボランティアスタッフにプレゼント。サービス精神も旺盛なナイスガイだ(撮影/竹田聡一郎)

――そのファンのエネルギーをポジティブにうまく競技に還元するには、どんな道筋が正しいでしょうか。

「やっぱりカーリング競技をより知ってもらうことが一番だと思います。まずはどれだけ難しいゲームであるか。そして、日本選手権があって世界選手権があって、その他にワールドツアーがあって、そこで成績を残したチームだけがプレーヤーズチャンピオンシップなどのグランドスラムに出場できる。そこで勝つのは世界選手権や五輪で勝つより難しいともいえます。カナダでは当然のように知られていることだけれど、日本のファンももう少し知ってもらえると応援するのもより楽しくなると思います。

『ロコ・ソラーレって世界選手権やオリンピックでメダルを獲得したのに、なぜグランドスラムで勝てないの?』と不思議に感じるファンもいるかもしれない。でもそのときの状況や対戦相手も違います。そして、グランドスラムまで来ると素晴らしいチームばかりなので、勝つか負けるかは、ごく小さい振り幅の範囲内での起きる出来事なんです。そこに居続けるために、そこで強くなるために、どれだけの時間を費やさなければならないのか。カーリングという競技を知ればもっとわかってもらえると信じています」

――最後にJDコーチ自身の次の目標を聞かせてください。

「昨年の今ごろ、長い長いオリンピックシーズンが終わったとき、正直、次の4年に向けてはとても悩みました。忙しいシーズンが進む中で、多くの問題がありました。家族や友人と過ごす十分な時間を取るのが難しかったし、彼らと距離があるまま時間が過ぎていった。

いろいろなことを考えたのですが、(コーチを続ける)大きい理由の一つに日本の多くのカーラーの決断がありました。ロコ・ソラーレをはじめ、多くのチームが次の4年に向けて前に進んでいた。どの選手、どのチームにも世界一になりたいという夢があって、それを手伝えるなら嬉しいことだし、日本のカーリングは、それが不可能でないレベルまで上がってきた。

JCA(日本カーリング協会)も、日本が、国内での競争率が高い強豪国のひとつになり、世界のトップを狙えることを理解してくれていると思うし、努力の先に世界一はあると思います。色々なことがこれから起こるのを、僕も待ち望んでいます」

――ありがとうございました。今季も長いシーズンになったけれど、お疲れさまでした。来季もよろしくお願いします。

「オツカレサマデシタ。まだ正式に決まっていないけれど、来季はまず札幌、どうぎんクラシックに行くことになると思います。カーリングホールそばの『さる家』の味噌ラーメンを食べるのを楽しみにしています」

◆ジェームス・ダグラス・リンド(James Douglas Lind)
1985年カナダ・カルガリー生まれ。幼少の頃からカーラーとして国内トップレベルでプレーし、カーリングに親しむ。指導者としては07年、CCA(カナダカーリング協会)のナショナルトレーニングセンターでジュニアチームのヘッドコーチとして世界ジュニア選手権制覇を経験している。日本では13年夏に北海道庁が運営する「北海道女子カーリングアカデミー」をきっかけに、現場からの強い要望でナショナルコーチに就任した。ソチ、平昌に続き、2022年の北京、コーチとして3度目の五輪を狙う。既婚。趣味はゴルフ。好きな日本食は「たくさんあって迷うけれど、ラーメンとカツ丼」。