今季のカーリング・シーズンが終了した。五輪シーズンの翌年だったが、多くのファンが関心を失うことなく、競技会場に応援に駆けつけ、それに呼応する形で日本のチームは国際大会で結果を残した。
その盛り上がりや、日本のカーリングが持つポテンシャルと将来について、日本代表のイケメンコーチでおなじみのJD(ジェームス・ダグラス・リンド)コーチを遠征先のトロントや北京で直撃した。
通訳/吉田知那美(ロコ・ソラーレ)
JDインタビューカット撮影/吉田夕梨花(ロコ・ソラーレ)
写真・インタビュー/竹田聡一郎
すべてのチームが新しいスタイルを求めて変わった
――W杯お疲れさまでした。今季前半は主にロコ・ソラーレ、世界選手権では中部電力に帯同しました。まずロコ・ソラーレの今季を振り返ってください。
「まず1つめに、昨年まではものすごい忙しいシーズンだったので、今季は休息を意識しました。カナダ遠征でもしっかりとリフレッシュできる時間を作ったりと、最近では最もゆったりとしたスケジュールだったのではないでしょうか。
スケジューリングはカーリングには大切な要素だと思っています。必ず毎回、チームで確認してからカーリングをしすぎないように、でも、しっかり練習時間も取れるようにバランスを考えて組みます」

――世界のチームと比べると、スケジューリングに関して差はあるものなんでしょうか。
「チームごと、国ごとでそれぞれです。たとえばエディン(Niklas Edin/男子スウェーデン代表)のチームは、どのチームより戦い続けていて、それが彼らにとっては心地が良くて結果の出しやすいものなんだと思います。
逆に同じスウェーデン代表でもハッセルボルグ(Anna Hasselborg/女子スウェーデン代表)はゆったりしたスケジュールで、そこまで試合をタイトに入れない。
それぞれのチームによって、最高のパフォーマンスを生むベストなスケジューリングがあります。クーイ(Kevin Koe/男子カナダ代表)のチームは今季エディンの半分しかゲームをこなしていない。それでも同じレベルで戦っているのは興味深いですね」
――ロコ・ソラーレは昨季、密度の濃いスケジュールでシーズンを過ごし、今年はペースを落としました。彼女たちに合ったスケジュールはどちらになりそうですか?
「ちょうど中間くらいがいいのかな、と思います。カーリングしすぎない。でもしっかり効果的な練習をするバランスが求めらます。
ただ、シーズンによって重要な大会も違ってくる。先ほど挙げたエディンのチームは今季、20大会近く出場したはずです。この戦い方は他のチームもできないことはないけれど、必要ない場合も多い。
だから、チームにとってどこにピークが欲しいのかを考え、それによって試合や練習の量を決定しないといけません」

――プレーについて大きな変化はありましたか?
「ロコ・ソラーレだけに限りませんが、やっぱり大きな変化は5ロック(※)ルールが始まったことです。
すべてのチームが新しいスタイルを求めて変わったと思います。エンドごとのプランに加えて、ゲーム全体で大きなプランを持って戦うことが必要になりました。
そういう意味では、どういう戦い方が自分たちのスタイルにフィットするか確認する作業を繰り返したシーズンとも言えるかもしれません」
(※)5ロック
カーリングには両軍のリードの4投がハウスに入っていない場合、ガードになったストーンをセカンドのショットまではテイクアウトしてはいけない「フリーガードゾーンルール」があったが、これが改良され、今季から日本でも導入された。これまでの4投に加え、先攻チームのセカンドの1投目、つまり各エンドの5投までガードストーンのテイクが禁止になる。これが“5ロック”と呼ばれる所以だが、ハウスに石が残りやすくなり、複数得点、あるいはスティールの契機が大幅に増えることが予想される。