パリのノートルダム大聖堂の現在と過去と未来

これまでも、これからも
高遠 弘美 プロフィール

それでも、再建してほしい

テレビとインターネットの時代では、とくに今回の火災のような情報は一瞬にして世界に流れます。

 

マクロン大統領は当日の夜、大聖堂に赴き、再建の決意を語り、17日には再建のための会議を開き、2024年のパリ五輪までの再建を確認しました。それに合わせるかのように、大企業グループの代表たちからは2億ユーロ、1億ユーロといった多額の寄附が寄せられ、最終的に寄附総額がいくらになるか想像もつきません。

一方で、「黄色いベスト運動」に端的に表れているように、貧富の差が際立つ社会においては、大聖堂より格差是正に使うべきだという意見も少なからず見受けられます。

フランスでは司祭の数も減り、神学生になる若者も激減していると言います。宗教がそれほど人々の心に届かない時代になっている証かもしれません。

池田なつき 撮影(2019年5月12日)
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それでも、私はノートルダム大聖堂を再建してほしいと願っています。

それは単にフランスの、あるいはカトリックの祈りの場所だからというのではなくて、かつての私のように、異教徒であろうと、魂が浄化される瞬間をたしかに感じることのできる場所を永遠に失ってはならないと考えるからでもあります。

大聖堂という、さまざまな象徴に支えられた時間と空間が織りなす聖なる場所を廃墟のままにしてはならない。それがユーゴーの言う「宏大な石の交響楽」、ノートルダム大聖堂を再建してほしいと願うすべての人々の思いなのではないでしょうか。

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