2019.06.06
# 古典物理学

「虹」はなんで「虹色」に見えるの? 「波の屈折」を徹底解説!

大人なら知っておきたいそのメカニズム
志村 史夫 プロフィール

地面と大気の熱的性質(比熱、熱容量)の違いから、好天の昼間は地面に接する空気のほうが上空の空気よりも温かい。ところが、夜になると放射冷却の作用で地表面の空気のほうが上空の空気より冷たくなる。音速は温度に依存し、温度が高いほど大きくなる性質を持つ。

すると、昼間は地表に近いほど音速が大きくなり、音の進路は地表から遠ざかるように上方に曲げられる(図5)。

図5 音の屈折

つまり、音は遠方の地上には届かない。一方、夜になると逆に上空ほど音速が大きくなり、音の進路は地表に近づくように曲げられる。このために、音は遠方にまで届くのである。

音に限らず、一般に波の進路が曲がることを「屈折」という。もし、波の速さが場所によって異なるために音の進路が曲がる、つまり屈折することがわかりにくかったら、オリンピックなどの開会式で、選手団が楕円形のトラック上を行進するようすを思い浮かべるとよい。

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選手団の行進方向が曲がるのは、列の内側と外側の選手の歩く速さが異なるからである。すなわち、速さが遅いほうに曲がる。ブルドーザーのように、両側にキャタピラがついた車両が方向転換する原理とまったく同じである。

3回続いた連載も今回で最終回。「波」について少しでも苦手意識が払拭できていれば幸いです!

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