私たちの周囲には、さまざまな「音(おと)」がある。というより、深海や宇宙空間のような特別の場所へいかない限り、私たちが「音」と無縁になることは不可能であろう(じつは、深海や宇宙空間にも、それなりの「音」があるのだが)。
私たちにとって「音」は空気と同様に「あって当たり前」の存在であり、ふだん、それについて深く考えるようなことはしない。
好むと好まざるとにかかわらず、私たちの耳にはさまざまな音が聞こえる。高い音、低い音、大きな音、小さな音、美しい音、耳障りな音……、などなどである。では、聞こえ方が違うこれらの音は、いったい何が異なっているのだろうか?
さまざまな音を考えるうえで基本となるのが、波の「形」である。音の「聞こえ方」には多少の個人差があるものの、基本的には高低、強弱、音色によって決まる。
そして、それぞれを決めるのは振動数(あるいは波長)、振幅、波形である。これらを、音の三要素という(図1)。
図中のa、bは、三要素のうち二要素が同じ音である。それぞれの音を1a、1b、2a、……、3bと名づけると、たとえば、3a、3bの音では、高さ(振動数)と強さ(振幅)は同じだが、波形が異なるために音色が違う(本当は「音色が異なるので波形が違う」)。