亀田誠治が誰よりも本気で「音楽教育」に注力するこれだけの理由

だから僕は「日比谷音楽祭」をつくった
柴 那典 プロフィール

日本の音楽業界に風穴を明けたい

――2010年代に入って、そういった問題意識が大きくなっていったということでしょうか。

はい。その頃の日本はオリコンチャートの1位から10位までほとんどがアイドルになっているような時代で、そんな中でやはり閉塞感はありました。

――閉塞感というと?

J-POPの現場にはアーティストに「等身大の言葉を歌ってほしい」といった、シンガーソングライター崇拝が脈々と受け継がれている。

僕が作詞作曲を手掛けた曲に「一言でもいいからアーティスト本人の書いた言葉を入れてほしい」という相談があったこともありました。

そういう大人が夢見た「等身大」を求めるJ-POPの現場と、アデルやテイラー・スウィフトのような海外のコライトの現場にものすごい温度感の差を感じていたんです。

大事なのは「等身大」かどうかじゃなくて、本当にいい楽曲かどうかだろうということも考えるようになりました。それが2015年や2016年の頃です。

――そういうところから、海外の音楽文化に刺激を受けるようになった。

その頃からプロデューサー仲間とグラミー賞を見に行くようにもなりました。

グラミー賞の「最優秀レコード賞」では、その楽曲の制作に関わったソングライターやプロデューサーなど全てのクリエイターが壇上に上がって表彰されるんです。

でも、そういう文化は日本にはない。その悔しさも大きいです。

もちろん日本には素晴らしいシンガーソングライターの方々がいますし、そういう方々が積み重ねてきたものを否定する気持ちは全くないです。

けれど、それとは違うベクトルで音楽を作り始めないと本当にガラパゴス化してしまうという危機感もありました。

 

何より、今の時代はエド・シーランのようなすごいアーティストがたくさん出てきている。ビリー・アイリッシュのように聴いたことのないような新しいサウンドも生まれて、それがあっという間に何千万回、何億回も再生されるようになっている。

一方、日本ではオリコンチャートで初登場1位をとるためにどんな特典をつけるとか、そういうことばかりに腐心している。「何をやってるんだろう」と思っちゃったんです。この渦の中からいち早く抜け出したい、風穴を明けたいと考えていました。

――なるほど。亀田さんの発想としては、何が売れるか、ヒットするか、音楽産業がどうなるかよりも、むしろ日本の音楽文化を豊かにするために何ができるかという考えが根本にあるわけですね。

そうですね。ずっと、そういう問題意識をもって音楽に取り組んでいると思います。結局、それが「日比谷音楽祭」につながったんです。

(後編はこちら:亀田誠治が全経験をつぎ込み「無料音楽祭」を開催する背景と本心)

【日比谷音楽祭オフィシャルサイト】
https://hibiyamusicfes.jp/
【日比谷音楽祭クラウドファンディングページ】
https://www.securite.jp/project/hibiya

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