日本企業が「終身雇用」を守れなくなっている本当の理由

外資型に変わらなければ生き残れない
中澤 一雄 プロフィール

日本ではまったく活用できていない「外資の方程式」

では、日本企業が短期間で生産性を上げるためにはどうすればいいのでしょうか。

生産性や効率を重視した外資のやり方を採り入れるのが最短の近道であると私は思います。

前述のとおり、私は半世紀近くにわたって外資系企業に勤務し、そこで外資の仕事の進め方、組織の在り方などを含め、いわば「外資の流儀」とでも言うべき手法やエッセンスをたくさん学ばせていただきました。

そのエッセンスを、このたび『外資の流儀』という本にまとめてみました。この場をお借りして少しだけ紹介させてください。

本書では、そのエッセンスや仕組みを8つの「勝利の方程式」と呼んでいます。

この8つのエッセンスの組み合わせこそが、世界中でアメリカ企業が勝ち続けている方程式であり核心です。低迷する日本企業の生産性を上げるために必要なのは次の8つです。

①Job Description & Job Size
タイトル(職位)別の職務内容と仕事の領域の確定
②Individual Performance Goal
期初前に個人目標を設定
③Performance Review
期末の成果重視による人事評価
④Performance Improvement Program
業務改善と退職勧奨
⑤Succession Plan
後継者育成計画
⑥Restructuring
外資流のリストラクチュアリング
⑦5-Year Strategic Plan
5年戦略計画
⑧Annual Operating Plan
年間遂行計画

「部長や課長など職位別の業務内容を明確にする」「期初前に個人目標を設定、期末に成果重視による人事評価を厳密に行う」「後継者の育成計画をつくる」など、いずれもアメリカの企業では当たり前のように実践されていることばかりですが、日本では活用できていないだけでなく、知らない人も多いようです。

私は予言者ではありませんが、この8つの外資流経営エッセンスを移植できない日本の会社は遅かれ早かれ淘汰されることになるでしょう。逆に言えば、いま皆さんがお勤めの会社は、おそらく5年後、10年後にこうした外資流経営を実践する企業になっている可能性が高いはずです。

現在の外資は日本企業の近未来の姿である

1868年、日本は明治維新にともなって社会システムの大改革を行いました。

当時、世界の最先端を走っていたのはヨーロッパ諸国です。まだアメリカの文化は発展途上だったため、日本はヨーロッパのシステムを輸入して発展しました。

具体的には、商法はドイツ、民法はフランス、自動車の左側通行はイギリスを参考にしています。

発電に関してはさまざまな背景があるようですが、1894年に東京電燈(いまの東京電力)が導入した50ヘルツの発電機は、ヨーロッパから輸入しています。

それに対して大阪電燈・神戸電燈・京都電燈(いずれもいまの関西電力)が導入したのは、アメリカから輸入した60ヘルツの発電機です。

ところが、2度の世界大戦を経た戦後になると、アメリカの技術力がヨーロッパをはるかにしのぐようになりました。壊滅的打撃を受けた敗戦後の日本の復興は、ほぼ100%と言っていいほど、アメリカのシステムによって成立しています。

それは、社会の仕組みはもちろんのこと、企業の経営システムにも言えます。

この流れは、いまも変わっていません。

「日本は、アメリカから30年遅れている」

年数の根拠は希薄ですが、日本がアメリカの社会・経済システムの後塵を拝しているのは明白です。

つまり、いまのアメリカを見れば将来の日本が何をすべきか見えてくるということになります。私は現在の外資系企業の姿が近未来の日本企業の姿であると思っています。