テレビ業界で本格化する働き方改革が「ドラマ現場に与える影響」

それでも面白いドラマは出てくるか…?
隼二郎 プロフィール

とある芸能プロのマネージャーはこう嘆いていた。

「撮影はどんなに押しても夜12時までと決められているため、収録日を増やすしかない。じつはこれが出演者側にとっては痛いところ。他の局のドラマにくらべて、かなり日数を拘束されるので、他の仕事は入れられないんです。

ただ、ひとつだけ前倒しロケのメリットを言うと、収録中に視聴率を知らなくてもいい点。よけいな雑音とかプレッシャーの影響を受けることなく、役者は演技に集中できますからね」

 

予算は変わらず人件費は倍に

また、働き方改革で一人あたりの労働時間の短縮を余儀なくされれば、人員を増やすしかない。前出のドラマ関係者は言う。

「すでにTBSではシフト制を敷いていて、朝と夜でスタッフが入れ替わることも珍しくない。人件費は倍近くかかります。でも予算は変わらないので、エキストラは演技経験のないボランティアに頼ったり、スタジオではなく、局内の会議室や廊下を使ったりして穴埋めすることに。当然、ドラマの完成度も低くなりますよね」

また、ドラマ現場の労働規制が厳しくなったことで、朝も夜もなく作品に情熱を注ぐ——そんなクリエーターはすっかり見なくなったという。あるベテランディレクターはこう言って危機感をあらわにする。

「あるキー局では、上司が残業の多い若手ADを呼び出して、『早く帰れ。このまま残業が減らない状況が続くと、他の部署に異動になるぞ』と警告するそうです。

実際、ドラマの仕事に夢中になりすぎて、資料室とか残業のない部署に異動になった若手社員もいます。あまり現場を知らないままディレクター、プロデューサーになったという人たちが増えたときに、いったいどれだけ熱のこもったドラマが作れるのかは疑問ですね」

時代の変化に合わせるのは組織の定め。働き方改革も重要だが、骨のあるドラマを拝めなくなったら……? と思うと、ちょっと複雑な気持ちもする。

編集部からのお知らせ!