日経平均2万円割れも覚悟せよ、米中貿易戦争「6月末までの読み方」

織り込むべき要因を網羅する
鏑木 邁 プロフィール

2000億ドル分の引き上げの影響については、国際通貨基金(IMF)が世界経済への影響をわずかマイナス0.2%と試算しており、市場も織り込んでいますから、それほどの材料はない。

ただ、3250億ドル分にまで対象を拡大すると、米国経済への打撃も広がる。中国本土に製造拠点を持っているメーカーは米国内に部品を輸入する時に関税を払うことになり、中国への制裁どころか国内経済を痛めつけるだけになります。

それを米国経済界が許容するかどうか。選挙戦を控えて、イメージ戦略と実際の景況感を天秤にかけたうえでどうバランスをとるかが、トランプ政権の課題となるでしょうね」

 

消費増税延期のゆくえ

一方、仮に3250億ドル分の引き上げも実施されるなど、米中貿易摩擦が本格化した場合、日経平均が下落するのは避けられない。それに伴って、アベノミクスによる株価上昇を至上命題とする安倍政権は消費増税先送り論を強めるとみられる。

実際、麻生太郎副総理兼財務相は4月30日に安倍晋三首相の私邸を訪ねた際、衆参ダブル選を進言している。安倍首相は言質を与えなかったとされるが、全国紙政治部記者はこう話す。

「このとき話題に上がったのは消費増税延期のことだけではないとは思いますが、重大なトピックであることは確かです。追加の制裁関税が引き上げられた場合、中国経済は確実に減速し、『リーマンショック級』の事態として延期には十分な根拠となります。

官邸がそう判断した場合、6月末に大阪市で開催されるG20での米中首脳会談で妥結に至らなければ、安倍首相が延期を宣言する可能性が高い。『国策の大きな方針転換』を大義に国民の信を問うという流れは十分あり得ます」

しかし、ダブル選で消費増税延期となれば、今年度予算の前提が崩れ、行政の現場は大混乱に陥ることになる。ある中央官庁の幹部はこう話す。

「例えば、教育無償化は今年度予算の目玉の一つですが、これは消費増税分が財源でした。それ以外にもしわ寄せがくる施策は山ほどあり、省庁はパニックに陥るでしょう。経済界は増税先送りを歓迎するでしょうが、行政機能はガタ落ちになり、日本社会全体には結局のところ悪影響が大きいと危惧しています」

米中両超大国の対立は、世界経済に甚大な影響を及ぼす。年初から緩やかな回復を見せていた日経平均も一気に冷え込む可能性が出てきた。当面はトランプ大統領の発言に左右される神経質な展開が続きそうだ。

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